三重苦のIT部門はイノベーションへの期待に応えきれていない:ITR内山氏 - (page 2)

大河原克行

2013-05-15 16:18

 こうした変化に対して、企業ITには「ビジネス環境に変化に対する俊敏性」「多様なワークスタイルを支えるIT」「組織マネジメントの複雑化への対応」「加速する所有から利用へのシフト」――という4つの要件が求められると解説した。

 「情報システム部門は、自らが何をするのか、どこまで現場を巻き込むのか、外部をどう活用するのかといった点でのソーシング戦略が見直されてくる。特定の事業部門の固有性が高く、競争優位性との関連性が強い領域では、事業部門に権限委譲してスピードを重視していく必要がある。競争優位性との関係が極めて強い領域については、内製化の回帰が出てくるだろう。共通性がある分野では、イノベーションプラットフォームとしてのクラウド活用が適している」(内山氏)

  • 現在のIT部門が抱える三重苦

  • 組織の未来を映す“トライブ”と“予測市場”

  • 迫られるソーシング戦略の見直し

  • IT部門がその存在意義を再定義することが迫られているという

 内山氏は「情報システム部門は、この10年で足りなかったものと積み残した課題を再度見つめ直し、存在意義を再定義することが求められる。存在意義とは、ユーザー企業内にITを専門とするスタッフを擁した組織をなぜ置かなくてはならないのか、という本質的な点にある。ここに着目して、情報システム部門でしか創出できない価値を明確に示すことがこれからのチャレンジになる」と提言。そしてこう主張した。

 「情報システム部門が置かれた立場は“三重苦”にある。そして、イノベーションへの期待にも応えきれていないともいえる。将来の働き方、組織はどうなっていくのかを見据えるとともに、過去10年間を振り返り、それを次の10年にどうつなげていくか、といったことを含め、存在価値を再定義することが求められる」


米Constellation Research CEOのDennis Kanemitsu氏

 基調講演には、ITRと提携した米Constellation Researchの最高経営責任者(CEO)のDennis Kanemitsu氏が登壇した。Kanemitsu氏は「これからのCIOの姿は“Chief Integration Officer”であり、“Chief Innovation Officer”である。また“Chief Infrastructure Officer”となり、“Chief Intelligence Officer”の役割を担うことになる」とCIOが担う可能性を示した。

 同フォーラムでは、特別セッションとして「未来を担うものからのメッセージ ~10年後のIT部門に渡すべきバトン~」をテーマに、10年後のIT部門の姿などについてライオンや国分、カシオ計算機のIT部門担当者、ラックによる講演が行われた。


特別セッションに登壇した情報システム部門の担当者。(左から)カシオ計算機 業務開発部の橋本隆史氏、国分 情報システム部の中山有氏、ライオン 統合システム部の森山卓也氏。内山氏が主宰する次世代リーダーズフォーラム「内山塾」の卒業生だという。一番右はラックのJSOC チーフエバンジェリスト兼担当部長の川口洋氏

 加えて、ITRアナリストによるセッションとして「VMOによるベンダー・マネジメントのあり方」「IT投資のあり方を革新する」「攻めのIT戦略のための“テクノロジ”の活用指針」「データ処理からデータ活用へ、ビッグデータの新たなチャレンジ」「次世代型コラボレーション環境の実現へ向けて」「経営力強化に向けたアプリケーションおよび情報マネジメント」といったテーマで、それぞれ講演が行われた。

ZDNET Japan 記事を毎朝メールでまとめ読み(登録無料)

NEWSLETTERS

エンタープライズ・コンピューティングの最前線を配信

ZDNET Japanは、CIOとITマネージャーを対象に、ビジネス課題の解決とITを活用した新たな価値創造を支援します。
ITビジネス全般については、CNET Japanをご覧ください。

このサイトでは、利用状況の把握や広告配信などのために、Cookieなどを使用してアクセスデータを取得・利用しています。 これ以降ページを遷移した場合、Cookieなどの設定や使用に同意したことになります。
Cookieなどの設定や使用の詳細、オプトアウトについては詳細をご覧ください。
[ 閉じる ]