三国大洋のスクラップブック

税金問題で米議会との「対決」が迫るアップルのティム・クック - (page 2)

三国大洋 2013年05月21日 21時44分

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[Apple CEO Tim Cook Takes on Tax Reform - Bloomberg TV]

 今回の調査委員会報告や記者会見について記した記事の中から、目立った点を以下に書き出しておく。

  • 「Appleは、税率の低いオフショア(米国外)のタックス・ヘブンに利益を移し替えるだけでは満足していないことがわかった」(Carl Levin委員長:註4)
  • 「Appleは税金逃れの『聖杯』を手に入れることに見事成功した。同社はオフショアに複数の法人をつくって、そこで数百億ドルもの資金を維持する一方、納税義務を負う国はどこにもないという状態をつくり出した」(Carl Levin委員長:註5)
  • 「Appleは米国法人のなかで最大の納税者と主張しているが、同時にその(節税策や金額の)規模の点で、米国でも有数の税金逃れ(tax avoiders)のひとつとなっている」(John McCain議員:註6)
  • 「Appleが口にしないのは、この話のもうひとつの側面--つまり、同社が最大規模の税金逃れであるということ」(John McCain議員、Appleが膨大な額の税金(2012年度には60億ドル以上)を米国で納めていると主張していることに言及して:註7)
  • 「(税金支払いを逃れようとしている米国企業のなかでも)Appleは最もとんでもない違反者」(John McCain議員:註7)
  • 「(Appleのアイルランド法人のひとつである)Apple Operations International(AOI)では、2009~2012年までの4年間に300億ドルもの利益を得ながら、どこの国でも法人税を納めていなかった」(同報告書:註8)
  • AppleがこのAOIを使って、米国から国外へ移し替えた金額は4年間に最低でも740億ドルにのぼった(註9)
  • Appleは公開した資料(財務関連情報)のなかで、納税に関する実効税率が24~32%だったとしているが、実際には20.1%に過ぎず、結果的に3年間(2009~2011年)の納税額は同社の主張より80億ドル以上も少なかった(註10)
  • AppleはAOIの法人税について、アイルランド当局と交渉した結果、近年では2%以下というきわめて低い法人税率を認められている。ただし、AOIの実態は米国籍の企業で、同社の銀行口座(や入出金などの記録)は米国内におかれ、また取締役会もカリフォルニア州内で行われている(註11)
  • Apple Sales International(ASI)という別のアイルランド法人では、2011年度に220億ドルの税引き前利益を計上しながら、アイルランドで納めた税金の額は1000万ドル(税率は0.05%)に過ぎなかった(註12)
  • Appleのアイルランド法人3社(欧州、中東、インド、アジア、太平洋地域の事業を担当)は、米国の法律ではIRS(Internal Revenue Service、米内国歳入省:日本の国税当局に相当)の管轄外とされるいっぽう、アイルランドの法律では「経営が別の場所で行われている」ため同国での徴税対象にはならない。その結果、Appleは米国でもアイルランドでもほとんど税金を納めずに済んでいる(註13)
  • Appleはアイルランドのような場所に子会社を置くことで、これらを事実上無国籍(stateless) の状態とし、それにより納税や、記録保持を定めた法律(の適用)、子会社による税の申告(file tax returns)を逃れている(註14)
  • 調査委員会は、Appleの税金対策行為に法律違反は見当たらなかった、としている。また、同社は複雑な企業統治の仕組みをつくり、タックス・ヘブンを利用して税金を圧縮し、そのことで調査を受けている米国の多国籍企業のひとつに過ぎない(註15)
  • 米国外に留保されている米多国籍企業の資金は合計で1兆9000億ドルにのぼる(Audit Analistics社の推定:註16)
  • 米国では2011年に、個人の所得税からの歳入が1兆1000億ドルに対し、法人税からの歳入は1810億ドルだった(註17)
  • Appleは、事前に公開した声明(書類)のなかで、先頃実施した株主配当ならびに自社株買い戻しのための資金調達(社債発行)に言及し、「海外においた資金をそのまま米国内に持ち込んで(これらの目的に使って)いたら、35%というとても高い米国の税金が適用されてしまい、資金は(大幅に)少なくなっていただろう」とし、さらに「(われわれは)現在の法人税制について、工業化の時代に生まれたコンセプトがデジタル経済に適用されており、そのために実際には米国の競争力を損ねていると考えている」と記している(註18)

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