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アップルのティム・クックCEOが米議会へ--英国ではグーグルが再び矢面に

三国大洋

2013-05-21 18:04

 なんとかのひとつ覚えのようで恐縮だが、AppleやGoogleなどの米多国籍企業をめぐる法人税(ハイパー節税)の問題でまた比較的大きな動きが出てきたので、今回はこの関連の「状況アップデート」を記すことにする。

Appleのティム・クックCEOが議会証言へ

 AppleのCEO、Tim Cookが米連邦議会上院の小委員会に出席して、法人税の問題について証言することになった。21日(米国時間)にSenate Permanent Subcommittee on Investigationという小委員会で開かれるこの聴聞会で、Cookは「(現行のものに比べて)劇的に簡素化した税制を提案する」(註1)などとWashington Postに語っているというが、詳細はまだ明らかにはなっていない。

 一連の税金の問題で同小委員会はすでにMicrosoftやHewlett-Packard(HP)の幹部に「海外(法人)への利益移し替えや税金圧縮のやりかた」(註2)について聞き取り実施済み。ただし、大企業トップが呼ばれるのはこれが初めてで、Cookにとっても「ワシントン・デビュー」となる。

 Washington Postとのインタビューのなかで、Cookはいわゆる「Repatriation Tax」(米国企業が海外での利益を米国内に持ち込もうとするとかかる税金)について「現行の35%はかなり高い数字」と述べつつ、「他社のなかにはこのRepatriation Taxをゼロパーセントに引き下げたいと考えているところがあるのは承知しているが、私の見方は異なる。「われわれはゼロを提案するつもりはないが......。(それでも)リーズナブルな税率でなくてはならないと思う」など述べている。

 また有力政治系ブログのPoliticoには、「Appleが利益を海外(法人)へ移し変えていないことは断言できる」「米国内で販売した製品についてはすべて税金を支払っている。払うべきものは1ドル残さず払っている」などと語っている(註3)。

 Appleは2012年度に米国で約60億ドルを納税しており、Cookによると今年はこの額が連邦税だけで70億ドルに達する見通しという。同氏は「連邦税と各州に収める税金を合わせると1時間あたりだいたい100万ドルを支払っている計算になる」「ご存じないかも知れないが、Appleは米国で最も多くの法人税を納める企業である可能性が高い」などとWashington Postに語っている(註4)。

 ただし、同社の手元流動性が3月末時点で1450億ドルに上り、そのうちの約1000億ドルが米国外に留め置かれてていることは周知の通り。さらに4月末に実施した170億ドルの社債発行がこのRepatriation Tax課税を逃れるためであったこと、また単なる資金持ち込みの代わりに借金(社債発行)という手段を選んだことで最大92ドルもの税金支払いを回避したなどと伝えられていたことも既報の通りである。

 なお、これまで法人税大幅改革の中心として動いてきたとされているのは下院の歳入委員会(Ways and Means Committee)であり、一方今回の聴聞会が開かれるのは上院小委員会。この2つの委員会がどう連携するのかなどについてはいまのところ不明。

 長く抜本的な手直しの必要を指摘されながら中々目に見える動きのなかったこの問題。Tim Cookのいう劇的簡素化の提案が刺激となって大きな前進がみられるかどうか、また提案の具体的な内容について他の大企業からどういった反応が出てくるか、などは注目の的となろう。

 Tim Cookがまことにソツのない「模範解答」のような発言しかしない可能性が高いのは過去の決算発表などから明らか。そんな前提に立つと、興味の焦点は自ずと質問者側の技量あるいは予習の程度といったことに移ってくる。この点に関し、この話題に触れたBusiness Insider(註5)では、昨年春~初夏にかけてThe New York Timesに掲載されていた iEconomyシリーズの記事(註6)に言及しながら、下記の点などにツッコミが入る可能性が高いと指摘している。

  • Appleの経営や製品開発に関わる幹部の大半が米国に居住・活動するにもかかわらず、利益の70%程度が国外で生じているとしている(知的財産などの海外法人への移転などで)
  • Appleは米国内での利益について、法人税の高い(8.84%)カリフォルニア州の本社ではなく、無税のネバダ州に登記したBraeburn Capitalという法人(子会社)で管理している(それにより資金の金利収入や投資益を節税)
  • Appleはカリフォルニア州から、研究開発関連の投資について1996年以来あわせて4億ドル以上の税控除を受けてきている
  • 国外ではいわゆる「ダブル・アイリッシュ付きのダッチ・サンドイッチ」といった手法を駆使してハイパー節税を行う草分けとなった
  • 法人税の高い国(たとえばドイツ)で活動するセールス関連の人員を、税金の安い国(たとえばシンガポール)に登記した法人の従業員とすることで、税金を圧縮している
  • iTunesでの商取引をルクセンブルグ法人で処理して、米国や欧州各国などでの税金を圧縮している

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