ビッグデータ時代に必要--インテルがオープンなクラウドを推進する理由

大河原克行

2013-05-23 10:07

 インテルは5月22日、同社が提唱する「オープン・クラウド・ビジョン」の取り組みを発表した。インテルは2010年に「クラウド2015ビジョン」を発表。クラウドコンピューティング環境のオープン化や標準化を加速することで、スケーラビリティを持ったクラウド環境実現を目的に業界各社や各種団体と共同プロモーション活動などに力を注いできた。

 2012年10月に中間発表として、業界における「新しい波(技術や製品)」の到来を示唆しながら、その現状を説明する機会を設けたが、今回の会見でインテル取締役副社長の宗像義恵氏は以下のように解説した。


インテル 取締役副社長の宗像義恵氏

インテル クラウド・コンピューティング事業本部 データセンター事業開発部 シニア・スペシャリストの田口栄治氏氏

さくらインターネット 代表取締役社長の田中邦裕氏

 「われわれの想像を超える勢いで変化しているのが実態。過去5年で構築していたようなものを、数カ月で作り上げなくてはならないといった動きが出ている。スマートフォンやタブレットが接続され、サーバやストレージ、ネットワークについても広がりをみせている。こうした動きをみると、2015年には、当初描いていたものとまったく違う話をしなくてはならないかもしれない。破壊的な勢いで増大する需要に対して、新たなIT基盤への取り組みが必須になっている。オープンで、低コストなクラウドプラットフォームが、ますます重要になる」

日本で一番安くビッグデータを処理できるデータセンター

 インテル クラウド・コンピューティング事業本部データセンター事業開発部シニア・スペシャリストの田口栄治氏は「オープンなクラウドプラットフォームの進化には、自動化されたセキュリティ、統合リソースオーケストレーション、拡張可能なリソースプールが重要である」と前置きし、このように説明した。

 「サーバに関しては、現状で均一で標準的なプラットフォームが提供され、電力効率も改善されつつあるが、セキュリティ強化などの課題がある。今後は、負荷特性に特化し、最適化したプラットフォームと、さらに高度なセキュリティを実現したサーバプラットフォームが求められることになる」

 田口氏は「ストレージの需要は伸びていくものの、ビッグデータ時代には、安価で大量のデータを蓄積できる環境が求められ、その点では、ますます分散ストレージが重要になってくるだろう」と予測した。

 具体的な事例として、さくらインターネットでの分散ストレージシステムの取り組みを紹介。さくらインターネット社長の田中邦裕氏は「数年前からインテルと技術情報交換を開始しており、その中で、分散ストレージシステムである“Amplidata”の紹介を受け、共同研究成果としてコモディティサーバを活用しながら、エンタープライズクラスの分散ストレージシステムを構築した」と説明した。

  • オープンなクラウド基盤が進化している

  • オープンなクラウドへのインテルの戦略

  • クラウドのストレージも進化している

 「過去には、大量のデータのアーカイビングとプロセッシングのためには、高価なスーパーコンピュータが必要とされていたが、これからは安価なサーバで構築でき、大量のデータを郊外の大規模データセンターで運用できる。当社の石狩データセンターは、電力コストが45%削減できる。日本で一番安くビッグデータを処理できるデータセンターとなる。コンピューティングはコンシューマーのデータから生まれるものであり、それをコモディテイ化したサーバ、ストレージで処理をすることになる」(田中氏)

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