現在のソフトウェアとハードウェアのインフラ企業の中では、このようなレベルでの変化を切り抜けてきたのはIBMだけだ。IBMは段階を上がっていくことに非常に長けている。Whitehurst氏は、同氏がDelta Airlinesにいた頃、IBMはテクノロジではなく航空業界について話しに来た、唯一のITベンダーだったと述べている。
エンタープライズソフトウェアに関するもう1つの道筋は、その市場の多様性が大きくなってきていることだ。「あらゆる種類のソフトウェア企業が、1つのアイデアに基づいて開発をしている。彼らは安価にソフトウェアを作り、「AWS」(Amazon Web Service)上で動かしている」とWhitehurst氏は言う。「それらの企業には、大きな資本も、営業チームも、流通経路も必要ない。なぜなら、彼らにはコストがかからないからだ。これは非常に優れたモデルだが、これによってエンタープライズソフトウェアの断片化は進むだろう」
--Hadoopの今後について。
Whitehurst氏はAWSをLinuxになぞらえた。同氏はまた、Red Hatにも同様のチャンスを見ている。「Hadoopは売るために書かれたものではない。このイノベーションは、エンタープライズ顧客をターゲットにしたものではなかった」とWhitehurst氏は説明する。その結果、Hadoopは様々な組織がターゲットとなる企業に合わせたディストリビューションを作成しており、それにつれて商業的に枝分かれしてきている。1つ注意すべき点は、Hadoopは商業的には枝分かれしているが、その大元のオープンソースプロジェクト自体は1つのままだということだ。「Hadoopは多くの場所で使われるだろう。私は、HortonworksとClauderaが、HadoopのOracleとIBM DB2になりつつあると考えている。私はまた、Hadoopがあらゆる場所に組み込まれつつあり、その価値も上がり続けていることも知っている」と話した。
--Red HatはHadoopのディストリビューションの1つを作るのか。
Whitehurst氏は完全に否定はしなかったが、Red HatがHadoopのディストリビューションを作ることは筋が通らない。同氏は「今のところそのつもりはない」と述べ、Hadoopのディストリビューション市場は競争が激しいと付け加えた。Whitehurst氏は、商用ソフトウェアとオープンソースの技術を混ぜ合わせた様々なHadoopディストリビューションが、長期的に存続可能かどうかについて疑問を呈した。「オープンソースとプロプライエタリソフトウェアを同時に扱うのは困難だ。プロプライエタリソフトウェアのロードマップを推進することは、オープンソースの場合とはかなり異なる。両方を同時に進めるのは難しい。マーケティングでの透明性を失いかねず、ロードマップを進めながらコミュニティと歩調を合わせるのは大変だ」とWhitehurst氏は言う。では、EMCやVMwareといったプレイヤーが、PivotalでHadoopのディストリビューションを作っているのはなぜだろうか。「すべての価値の源泉はデータにある」とWhitehurst氏は言い、データを所有している者が、それをどこに置くかについての発言力を持つのだと話す。「EMCはその価値を理解している」
--Red Hatのサービスとしてのプラットフォーム(PaaS)である「OpenShift」から何を学んだか。
OpenShiftでは25万のアプリが動いており、AmazonのAWS上で動作している。これまでの最大の驚きは、 エンタープライズ顧客が、OpenShiftをオンサイトのプライベートクラウドで動かすことを望んでいることだという。「多くの顧客が、ハードウェアとPaaSの間の緊密な統合を望んでいた」と同氏は述べた。このRed Hatの自動スケーリングプラットフォームは、サービスとしてのプライベートプラットフォーム、あるいはパブリックプラットフォームが、エンタープライズ製品としてヒットすることに賭けたものだ。