6月2日から3日間、トルコ・イスタンブールに約160人の女性が集った。彼女たちの共通点は起業家、そして経営者。女性の社会進出がいわれて久しいが、ベンチャー投資総額のうち95%が男性の起業家の手元に渡っているなど、起業家となるとまだまだマイノリティだ。
地域や事業分野はさまざまだが、会期中、同じ女性という立場で活発な議論や意見交換が行われた。
落とした贅肉15トン、地元フランチャイズジムから自己出版まで
イベントはDellが毎年主催している「Dell Women's Entrepreneur Network(DWEN)」だ。4回目となる今年は、13カ国から女性約160人が参加した。国連財団の客員起業家Elizabeth Gore氏、Hillary Clinton氏が国務長官時代に補佐官を勤めたCheryl Mills氏など財界や政界で活躍する女性のほか、投資コンサルのAriadne Capitalの創業者兼CEOのJulie Mayer氏、Technomyの共同創業者兼COOのSimone Ross氏、BlurbのCOO、Donna Boyer氏など、ハイテク業界で著名な女性起業家や幹部の顔もあった。
イベント全体をまとめたのは、DellでCMOを勤めるKaren Quintos氏。3人の子どもの母親でもあり、2012年には米紙「Working Mother」のMother of the Yearに選ばれた。
DellでCMOを勤めるKaren Quintos氏
会期中話し合われたテーマは、自分のブランド化、リーダーシップ、技術の活用、企業の規模拡大など男女問わないテーマもあれば、男性中心の伝統をどうやって変えていくか、と女性特有のものもあった。例えばブランド化では、「女性は控え目。自己プロモーションを控える傾向がある」とカナダの女性誌「Chatelaine」の編集長であるJane Francisco氏。同誌では活躍している女性を選ぶリストを毎年作成しているという。
女性起業家インデックスを作成する非営利団体GEDI(Global Entrepreneurship and Development Institute)のプロジェクトディレクターRuta Aidis氏は、「成功した女性は珍しくなくなってきたが、さらにインパクトを与えられるようなポジションに発展しない」と問題を提起した。
企業の成長や規模拡大については、地元トルコで女性のみのジムをフランチャイズ形式で展開するB-fitの創業者、Bedriye Hülya氏が「規模を拡大させながらサービス品質を維持すること」が難しかったと振り返る。フランチャイズが100に達したところでいったん拡大を中止し、構造作りを行うことになった。
その過程で変化を嫌がるスタッフの説得や解雇もあったという。B-fitは現在、創業7年目にしてフランチャイズは220を超え、会員数は2万人に達したという。会員合計で15トン以上の減量に成功した。創業時からの方針通り、現在でも低所得者層から中間層の女性をターゲットにしている。
一方で、自己出版BlurbのBoyer氏は、顧客数などの「スケール」と新市場への「拡大」の2つから成長戦略を練るようにしているという。「単に“成長”というのではなく、スケールなのか拡大なのか、その理由はなぜか、と意味のある話し合いをするべき」とアドバイスした。
B-fitのBedriye Hülya氏(中央)とBlurbのDonna Boyer氏