筆者は大小さまざまな規模の企業で働いてきた経験から、長期にわたって真面目に働き続ける従業員と、すぐに辞めてしまう従業員の違いを見分けられるようになった。「長く働き続ける人」を見分けるには、職場における同僚との接し方に目を向ければよい。彼らはある種の性質を備えつつ、プロフェッショナルかつ尊敬を忘れない方法で人に接する。組織というものは、従業員間のポジティブなコミュニケーションによって機能していくため、人との接し方で作業効率が大きく変わってくるのだ。
最近、マネジメント層の間では従業員の士気を高める方法が共通の話題となっている。社内外の行事や、ウォーカソンを通じたエクササイズ、気さくな雰囲気のダイエットコンテストの実施など、職場のムードを高めるための方策を講じるのは良い考えだ(ただ、筆者がある会社で経験したのだが、高校行事のような強制参加型の社内運動会については少しやりすぎだと感じた)。
とは言うものの、いつも凝ったプランを用意しなければならないわけではない。場合によってはシンプルなアプローチで最高の結果を達成できる。以下は、先に述べように人との接し方に目を向けてきた筆者が、職場のポジティブな関係を維持していくうえで有用だと感じたことを10のティップスとしてまとめたものである。素晴らしいことに、これらのティップスは無料で実践できるのだ!
#1:常識的な礼儀をわきまえる
このティップスには説明の必要もないだろうが、筆者はよそよそしさで有名なニューイングランドに住んでいる。こういった土地柄のせいか、職場の廊下で同僚にすれ違う際、親しみを込めて「ハロー」と呼びかけても、こわばった表情で凝視されたりする(あるいはまったく無視される)。これほど気持ちの悪いことはない。筆者は何も紙吹雪をまいたり、風船を渡したりしろと言っているわけではない。ただちょっとした会釈を交わし「ハ~イ」と呼びかけるのが、生産的な職場を作り上げる第1歩だと考えている。相手の目を見ながら名前で呼びかけるのだ。これが共同作業というエンジンをスムーズに回転させるための潤滑油となる。何もコーヒーを飲みながら1時間おしゃべりしろと言っているわけではないし、誰彼かまわずにキスして回れと言っているわけでもない。
さらに、職場での生活はルームメートと一緒に生活するようなものだということを忘れないようにしてほしい。冷蔵庫の中に2週間もフィッシュサンドイッチを残しっぱなしにしたり、カプセル式コーヒーマシンのカプセルを使い切ったまま次の箱を開けないような野郎(または女子)になってはいけない。また、足の臭い人がサンダル履きで仕事をするのは良い考えとは言えない。そういった気配りを忘れないようにしてほしい。
#2:効率的なコミュニケーション手段を用いる
同僚がどういったコミュニケーション手段(電子メールや電話、インスタントメッセージ、個人的に足を運ぶなど)を好んでいるのか調べておき、話をする際にはその嗜好にできるだけ合わせるようにしてほしい。ある人は問題に対するアクションや回答を記録として残しておきたいがために(あるいは夜にまとめて読みたいがために)電子メールを好む。また別の人はコミュニケーションの迅速な手段として電話を好んでいるはずだ。
しかし、たいていの場合は電子メールが標準となる。そこで電子メールの使用上の注意を以下に4つまとめておく。
- 件名は常に意味あるものにし(つまり「質問」ではなく「有給休暇の取得期限に関する質問」とする)、電子メールはできる限り簡潔にして話題からそれないようにする。
- ミーティングに出席する必要のない人に出席依頼の電子メールを送信したり、内容を伝える必要のない人に電子メールを送信してはいけない。このようなことをすると、あなたの電子メールはスパム扱いされて読んでもらえなくなる。
- 誰かをやり取りに加える場合は、その理由を伝えるようにする。電子メールの長大なやり取りをいきなり同報してはならない。理由の例としては、「ジェフさん、あなたは外国為替レートについて見識をお持ちであり、英国から帰ってきたばかりだと聞いているので、話題に入ってください」といった感じになる。
- 無関係な過去の電子メールに返信するかたちで、新たなやり取りを始めてはいけない。
同僚から欲しい回答が得られない場合もある。電子メールやボイスメールは無視される(または無視されているように見える)可能性もある。こういった際、怒りにまかせて電子メールを書き、同報先として相手の上司を指定する前に落ち着いて考えてほしい。特に上司への同報は、最後の手段としてやむを得ない場合でない限り、人間関係に壊滅的な打撃を与える可能性がある。おそらくは相手のところに直接出向き、礼儀正しくお願いするのが得策だろう。相手は電子メールを読む暇もないくらい多忙だったのかもしれないし、あなたの依頼に応えられる他の人を紹介してくれる可能性もある。相手があなたをわざと無視しているという十分な確証がない限り、疑わしきは無罪という原則を適用してほしい。また、相手が意図的に返答を遅らせていると分かった場合、あなた自身の上司にまず助けを求めるようにするのがよいだろう。