本連載「松岡功の『今週の明言』」では毎週、IT業界のキーパーソンたちが記者会見やイベントなどで明言した言葉をいくつか取り上げ、その意味や背景などを解説している。今回は富士通の取締役執行役員専務を務める加藤和彦氏と、日本オラクルの執行役員、桐生卓氏の発言を紹介する。
「UNIXサーバの新機種を海外で拡販するため、Oracleとの協業を一層強化していきたい」(富士通 加藤和彦 取締役執行役員専務)
富士通の加藤和彦 取締役執行役員専務
富士通が7月30日、2013年度第1四半期(2013年4~6月)の連結業績を発表した。同社の最高財務責任者(CFO)を務める加藤氏の冒頭の発言は、その発表会見で、UNIXサーバの新機種の販売が同期間で立ち遅れたことを踏まえて今後の取り組み強化への意欲を語ったものである。
連結業績の内容は、売上高が前年同期比4.4%増の9992億円と増収だったものの、営業利益で228億円、経常利益で187億円、純利益で219億円の赤字となった。だが、それぞれ前年同期より39億円、80億円、35億円の改善がみられ、「第1四半期については当初の計画を上回った」としている。
セグメント別で最も増収に寄与したのは、前年同期比8.0%増の6775億円を売り上げたテクノロジーソリューション。その内訳では、ソリューション/SIが同7.2%増、インフラサービスが同8.5%増、ネットワークプロダクトが同16.6%増の伸びを示したが、システムプロダクトについては同3.1%の減収となった。加藤氏によると、「システムプロダクトはUNIXサーバの新機種を2013年度から市場投入する予定だったが、海外向けの立ち上げが遅れたことが減収につながった」という。
UNIXサーバの新機種とは、富士通が1月に発表したハイエンド向けの「SPARC M10」のことだ。SPARCサーバについて同社は米Oracleとグローバルアライアンスパートナーを組み、Oracleが買収した旧Sun Microsystemsの時代から国内でOEM販売してきた。そうした関係から、今回富士通が開発したSPARC M10についてOracleが販売パートナーとなり、日本以外で「Fujitsu M10」として営業活動を行う手はずになっていた。
先の加藤氏のコメントは、そのグローバルな事業展開による業績の計上を第1四半期に見込んでいたが、思惑通り行かなかったことを述べたものだ。なぜ、思惑通り行かなかったのか。「アプリケーションの動作確認やマニュアルの整備などの作業が遅れたことに加え、Oracleの営業に対するアピール度が足りなかったかもしれない」と加藤氏は話す。とはいえ、「第2四半期から本格的に動き出し、通年で当初の計画を達成できるようにしたい」と力を込めた。