統合管理ツール「Oracle Enterprise Manager」新版--ライフサイクル管理強化

齋藤公二 (インサイト)

2013-08-27 15:11

 日本オラクルは8月26日、統合管理ツールの新版「Oracle Enterprise Manager 12c Release 3」の国内提供を開始した。7月2日に米国で発表された製品で、新たにデータベースの最新版である「Oracle Database 12c」で追加されたマルチテナントアーキテクチャへの対応、同社の“Engineered Systems”製品に対する管理機能の強化、クラウド環境でのシステムライフサイクル管理機能の強化などが図られた。

アーキテクチャと運用のギャップを埋める

 同社専務執行役員 テクノロジー製品事業統括本部長の三澤智光氏は「インターネット、グリッド、クラウドとシステムのアーキテクチャが進化し、大量のデータやトランザクションを扱えるようになった。しかし、運用業務はいまだにエンジニアが人手で対応していることがほとんどで、アーキテクチャと運用のギャップはますます大きくなっている。Enterprise Manager 12c Release 3は、そのギャップを埋めるための機能を強化した」と説明した。

 ギャップという点で顕著なのは、たとえば、Oracle Databaseのオプティマイザの監視や管理、テーブルやビュー、インデックスなどのデータベースオブジェクトの管理などを手動で行っていることだという。データベースオブジェクトをExcelとスクリプトで管理しているケースも多く、データベースの数やデータ量が増えるにつれ、人手での管理が難しくなっていた。10gの時代から自動化や一元管理の機能を強化してきたが、特に12c以降、データベースの構成管理やオブジェクト管理を容易にできるようにしているという。


日本オラクル 製品戦略事業統括本部 データベースコア製品推進本部 シニアプロダクトラインマネジャー 平井克人氏

 製品戦略事業統括本部 データベースコア製品推進本部 シニアプロダクトラインマネジャー 平井克人氏は、Oracle DB 12cのマルチテナントアーキテクチャへの対応について、コンテナデータベース(Multitenant Container Databaseb:CDB)とプラガブルデータベース(Pluggable Database:PDB)をフルサポートしたことを紹介した。これらデータベースの移動、クローニング、バックアップ&リカバリ、パッチ適用、稼働状況や構成情報の管理を一元的にできるようになり、作業負荷の軽減と運用の効率化を図ることができるとした。

 Engineered Systemsの管理機能の強化については、データベース専用機「Oracle Exadata Database Machine」で複数のラックを管理するマルチラック管理に対応した。アプリケーションサーバ専用機の「Oracle Exalogic Elastic Cloud」や分析専用機「Oracle Exalytics In-Memory Machine」では、ソフトウェアだけでなくハードウェアまで管理できるようになった。

 マルチラック管理では、インフラ管理者向けにはラック構成を模した物理環境(ハードウェア)ビューを提供し、アプリケーション管理者向けにはデータベースの使用状況などを表示する論理環境(データベース)ビューを提供するといった柔軟な管理を展開できるようになっている。新版ではまた、Engineered Systemsの垂直統合型システム製品「Oracle SuperCluster」の管理にも対応した。

クラウド環境のライフサイクル管理機能の強化

 クラウド環境でのシステムライフサイクル管理機能の強化では、テスト、性能管理、構成管理の3つの機能が紹介された。ここで言うクラウド環境のライフサイクルとは、アプリケーションやミドルウェア、データベースなどについて、計画から実装、テスト、監視・運用、セルフサービス化までの一連のサイクルを指している。

 テストでは、本番環境への移行前にデータベースのワークロードをキャプチャして、事前に本番移行時の影響を把握する機能「Real Application Testing(RAT)」で複数データベースを統合して同時にリプレイできる機能が追加された。

 たとえば、営業(Sales)や人事(HR)、ERP、CRMといったような異なるデータベースをPDBに統合して管理を効率化しようとする場合、それぞれのデータベースのワークロードを取得し、統合後のPDBの負荷状況がどうなるかをシミュレートできる。

ZDNET Japan 記事を毎朝メールでまとめ読み(登録無料)

ホワイトペーパー

新着

ランキング

  1. セキュリティ

    「デジタル・フォレンジック」から始まるセキュリティ災禍論--活用したいIT業界の防災マニュアル

  2. 運用管理

    「無線LANがつながらない」という問い合わせにAIで対応、トラブル解決の切り札とは

  3. 運用管理

    Oracle DatabaseのAzure移行時におけるポイント、移行前に確認しておきたい障害対策

  4. 運用管理

    Google Chrome ブラウザ がセキュリティを強化、ゼロトラスト移行で高まるブラウザの重要性

  5. ビジネスアプリケーション

    技術進化でさらに発展するデータサイエンス/アナリティクス、最新の6大トレンドを解説

ZDNET Japan クイックポール

注目している大規模言語モデル(LLM)を教えてください

NEWSLETTERS

エンタープライズ・コンピューティングの最前線を配信

ZDNET Japanは、CIOとITマネージャーを対象に、ビジネス課題の解決とITを活用した新たな価値創造を支援します。
ITビジネス全般については、CNET Japanをご覧ください。

このサイトでは、利用状況の把握や広告配信などのために、Cookieなどを使用してアクセスデータを取得・利用しています。 これ以降ページを遷移した場合、Cookieなどの設定や使用に同意したことになります。
Cookieなどの設定や使用の詳細、オプトアウトについては詳細をご覧ください。
[ 閉じる ]