仮説思考の実践
昨今のビッグデータブームに伴い、分析した結果を事業の重要な意思決定フローに取り込んだり、具体的な施策に落としたりする動きが活発になってきました。しかしながら、分析結果を眺めているだけで、なかなか意思決定に直結しない場合や、施策に落ちないケースもよく耳にします。
では、成功するケースと失敗するケースにおいて、何がどう異なるのでしょうか。そこで、重要になってくるキーワードが“仮説”です。一般的に分析のアプローチは、「仮説を発見するもの」と「仮説を検証するもの」という、大きく2つのものに分けられます。われわれは、仮説を発見するためにさまざまな情報を洗い、徐々に自身の仮説を強めていきます。
そこでは、必ずしも理路整然とした一貫性のある情報が必要とされるわけではありません。1つのものから次のものへと情報を柔軟に発散させていき、発散させたものの中から、共通項を導き出していきます(図1.仮説発見型アプローチを参照)。

図1.仮説発見型アプローチ
一方、強めていった仮説を検証するためには、発見型のアプローチとは異なり、検証ゴールやステップなどの分析設計が具体的に明示されている検証ロジックが必要となります。そこでは、検証ゴールに向かって論理的に情報を収束させていきます。このように、仮説発見型のアプローチが、ニーズの変化に合わせて、随時、取得する情報を変えていくアジャイル型であるのに対して、仮説検証型のアプローチは、事前に成果物を明確に定義し設計に落としていくというウォーターフォール型であるといえます(図2.仮説検証型アプローチを参照)。

図2.仮説検証型アプローチ
分析から得たいものが仮説の発見なのか、仮説の検証なのかを明確に区別しないままに、“とりあえずデータを見てみる”ということをしてしまうと、深いデータの森の中で無意味にさまようことになります。まずは、みなさんが求める分析が仮説発見型なのか、検証型なのかを明確に定義することが、成功するための初めの一歩です。