昨今、バズワードのように、ビッグデータという言葉をさまざまなところで耳にする機会が多くなりました。「ビッグデータには、われわれの知らないものすごい鉱脈が埋まっているのではないか」「ビッグデータを分析することで、われわれのビジネスを飛躍的に高められるのではないか」。
このようなビッグデータ神話がまことしやかに囁かれている一方で、具体的にビジネスの現場において、ビッグデータを何にどう生かしていけばよいのか分からないという声も聞こえてきています。
リクルートでは、ビッグデータへの取り組みをこの2、3年あまりで加速させ、需要予測や広告予算の最適化、ウェブリコメンデーションなどの分析ソリューションを生み出してきました。ただし、われわれは、意思決定のすべてをデータ分析結果に委ねる、といったデータに過多に依存するスタンスは取っておりません。
分析結果を含めたさまざまな情報をどんなに集めにいっても100%の情報が出そろうことはまずありませんし、100%の情報が集まるまで意思決定できないとすると、マーケットのスピードに置いていかれてしまいます。われわれは、情報の不完全性をある程度のレベルで許容しつつ、スピード感を持ってビッグデータと向き合ってまいりました。
今回は、リクルートにおけるデータマネジメントの考え方や取り組み内容をご紹介することで、ビッグデータは本当に役に立つのか、どのようなシーンで役に立つのかなど、ビッグデータの活用イメージを伝えたいと思います。
ビッグデータマネジメントを通した2つの活用出口
リクルートのビジネスは、われわれが提供するメディアに、物件情報や中古車情報、飲食店情報などを掲載いただくクライアントとそのメディアを通して情報を探索するカスタマーの2者を媒介することで成り立っています。
そんな中、われわれの介在価値として、資料請求や店舗への来店など1つでも多くのカスタマーアクションをクライアントに返すことが求められます。データマネジメントを通して上記を実現するために、われわれは、大きく3つのことにチャレンジしています。(図1をご参照ください)

図1 ビッグデータマネジメントの全体像