大元隆志のワークシフト論

なぜ日本は生きづらいのか--「商売」と「ビジネス」の違い

大元隆志(ITビジネスアナリスト) 2013年09月30日 07時30分

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 連載第2回目となる今回は、「日本人の生きづらさ」について考えてみたい。

 米国には「プレッパー」と呼ばれる人たちがいる。有事や天変地異に備えて、事前にPrep(準備・備え)する人やグループを指す。米国ではこのプレッパーが300万~400万人程度存在しているとも言われており、一種のライフスタイルとして認知されている。

 彼らは独特の信念や情報から世界滅亡は必ず訪れると信じて疑わない。ある人は北極と南極が反転する「ボールシフト」が起きると信じ、ある人はハイパーインフレが起きて金融崩壊が起きると信じ、ある人は超巨大火山の噴火に備える日々を送る。

 彼らが思う世界滅亡のシナリオはそれぞれ異なるが、彼らには3つの共通点がある。

 この、プレッパーたちが出演するドキュメンタリー番組がある。番組名は「プレッパーズ」、製作は世界171カ国、4億4000万世帯が視聴するナショナル ジオグラフィック チャンネルが担当している。現在、Huluで見ることができるため、私も楽しみに見ている。この番組に登場する1人のプレッパーを紹介しよう。

 彼女の名はベッキー・ブラウン。彼女は米国の失業率が高まり経済が破綻すると信じている。そうなれば、政府が統制を強め国は戒厳令下となり、憲法で保障された国民の権利がないがしろにされ、民主主義は崩壊する、というのが彼女の描くシナリオだ。

 彼女は“その時”に備え、政府の不審な動きを素早く察知するために州議会の裏手に住み、167平米のアパートのうち20平米を備蓄品の貯蔵庫として使っている。400リットル以上の水と4000食以上の食料が貯蔵している。彼女はこの備蓄に5万ドル以上出費している。この他にも暴動に備え、射撃の訓練を行い、1日4時間をプレップに費やしている。30代の彼女に恋人はいない。しかし、自分のプレップがいかに優れているかを語る彼女の表情はとてもイキイキとしている。

ワークシフトに脅える日本版プレッパー

 この「プレッパーズ」を見ていて「ワークシフト」や「漠然とした将来の不安」を感じて暮らす人たちは、日本版プレッパーズではないかと感じるのだ。

 10~20年先のグローバル経済化した未来を想像し、大企業が赤字決算を出せば「日本が崩壊する」と言い、どこかの企業がリストラを発表すれば「雇用が危ない」と叫ぶ。すでに日本を飛び出し、セブやフィリピンなどの物価の安い国での生活を始めている人たちもいる。

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