本連載「松岡功の『今週の明言』」では毎週、ICT業界のキーパーソンたちが記者会見やイベントなどで明言した言葉をいくつか取り上げ、その意味や背景などを解説している。
今回は、サイボウズの代表取締役社長を務める青野慶久氏と、NECの執行役員、保坂岳深氏の発言を紹介する。
「kintoneは世界に通用するクラウドサービスだと確信している」(サイボウズ 青野慶久 代表取締役社長)
サイボウズの青野慶久 代表取締役社長
サイボウズが先ごろ、都内のホテルでプライベートイベント「cybozu.comカンファレンス2013」を開催した。青野氏の冒頭の発言は、その基調講演とその後に行った記者説明会で、同社の主力サービスの1つである「kintone」のグローバル展開に強い意欲を示したものである。
青野氏が基調講演や記者説明会で語った内容については関連記事を参照いただくとして、ここではその中でも特に印象深かったkintoneのグローバル展開に焦点を当てたい。
kintoneは、グループウェア大手の同社がこれまで培ってきたそのノウハウを基に、同社のクラウド基盤「cybozu.com」上で手軽に業務アプリケーションを構築できるようにしたPaaS型のクラウドサービスである。
2011年11月に提供開始して以来、契約社数が1000社を超えたというkintoneは、Excelからの乗り換えをはじめ、ワークフロー基盤やSFA(Sales Force Automation)、さらには統合基幹業務パッケージ(ERP)など基幹系のフロントシステムに至るまで、幅広い用途に利用されており、国産PaaSとして今最も注目されている。
そこで青野氏が今回のイベントで力強く打ち出したのが、kintoneのグローバル展開だ。「来年から米国と中国の両市場で本格的なマーケティング活動を展開する」と明言した。すでに今年から米国市場で試験的に提供を始めており、高い評価を得ていることから、中国市場とともに本格的な活動を始める決断をしたようだ。
実は、同社にとってグローバル展開は、今回が初めてではない。米国市場でグループウェア製品を展開しようと、2001年にサンフランシスコへ事業拠点を設けた。しかし、米国ではグループウェアで扱うスケジュールがプライベートな情報とされ、それを共有する文化がなかった。結局、製品は受け入れられず、2005年に撤退を余儀なくされた。
この苦い経験から、青野氏は、文化に依存するアプリケーション領域ではなく、文化にかかわらないミドルウェア領域で戦わないと、グローバル展開は難しいと痛感したという。kintoneによるグローバル展開には、こうした背景がある。
さらに、青野氏には「日本発のクラウドサービスを世界に広げたい」との強い思いがある。同氏いわく「IT分野はこれまでハードウェアもソフトウェアも米国に主導権を握られ続けてきた。しかし、新たなパラダイムであるクラウドでは、安心かつ安定したサービスを提供できる日本が主導権を獲れる可能性は大いにある」。この負けん気が、kintoneのグローバル展開を突き動かしている原動力ともいえる。