システムの構築や運用保守、ソフトウェア開発などを手掛ける山口情報処理サービスセンター(YDS)は、本社データセンターで保管しているクレジット決済システム「CANDY-A(キャンディエース)」のデータをより安全に保護するために、全く同じ構成のバックアップセンターを立ち上げ、稼働させている。日本オラクルが11月26日に公開した。
CANDY-AはYDSの主力サービスとして全国規模で使われている。クレジットカード決済という性格上、24時間365日の稼働、膨大なトランザクションの処理が不可欠。このデータの損失を避けるため、決済業務を委託する顧客(加盟店)側で独自にバックアップを取得し、さらにYDSでも本社データセンターで日次と月次のバックアップを取得して遠隔地に保管してきた。
2011年3月の東日本大震災を受け、想定外の災害発生を考慮した顧客側のバックアップ損失リスクを低減させる仕組みを模索していた。そこで、YDSの周辺地域が広域災害に見舞われた場合を想定して、遠隔地にバックアップセンターを構築することを2011年から検討してきている。
CANDY-Aのデータベースには「Oracle Database Standard Edition」が使用されていた。バックアップセンター構築では、バックアップを本社と全く同じ状態にするためにデータベース専用機「Oracle Database Appliance X3-2」2台の災害対策構成が決定された。データベースは、「Oracle Database 11g Release 2 Enterprise Edition」に変更した。
本番環境を停止することなくリアルタイムの災害対策構成を実現できること、必要機能がパッケージされており早期構築が可能なこと、アプリケーションを改修することなく性能向上が見込めることなどが、採用のポイントとなった。
YDSでは、新しいCANDY-Aを8~10月の3カ月で構築し、検証を終えた11月1日から本格稼働を開始した。障害テストでは1時間で切り替えが可能となり、また以前に比べ処理性能が2~3倍に向上しているという。
将来的に利用者数が増えた場合でも、システムに必要なプロセッサの能力に応じて費用を支払うオラクルのライセンス方式「Capacity On Demand 」に大きな期待を寄せているとしている。