2013年--信頼が死んだ年

David Gewirtz (Special to ZDNET.com) 翻訳校正: 石橋啓一郎

2013-12-18 07:30

 われわれ先進国の人間の世界の見方は、万人に通用するものではない。われわれは高価な「iPhone」やスマートな「Android」デバイスを持ち歩き、新しい軽くなった「iPad」を買い、Keurigのプラスチックカップは環境によくないなどと議論を交わし、「Windows」派、「Mac」派、「Chrome」派、「Linux」派に分かれて言い争い、さらにはこういったポストPC以前の「宗教」がもはや力を失っているかどうかについても話している。

 また、われわれはブランドが好きだ。例えば、Appleは革新的だ、Googleは悪ではない、Microsoftは悪だ、AOLは90年代の遺物だ、BlackBerryは死に体だ、などという話を始終している。

 そして、われわれはますます、自分たちの情報を公開するようになってきている。われわれはFoursquareにチェックインする。あるいは、Twitterで考えをつぶやく。そして、あらゆる情報をFacebookで共有する(特に、食べ物、ペット、子どもの写真だ)。われわれは世界に向かって(あるいは少なくとも「友人」に向かって)、自分がどこで休暇を過ごしているかを発信し、夕食を取った場所さえも漏らしてしまう。

 また、われわれはもはや、自分で電子メールサーバをホストすることはなくなった(ほとんどの場合は)。その代わり、Google、Microsoft、Apple、Facebookなどが提供するフリーメールを利用する。そして、こうした企業(少なくともGoogle)は、われわれの注意を引き、あわよくば現金を引き出すために、興味を持ちそうな広告を見極めるため、われわれ宛のメッセージをすべて監視している。われわれはそんなことは百も承知だ。

 そして、信頼している。ラップトップにはウェブカメラがついているし、スマートフォンにも表と裏の両方にカメラがある。また、ポケットやバッグには、位置情報を取得するデバイスを入れて持ち運んでいる。そのために、われわれは世界の中で移動するとき、Wi-Fiのホットスポットや携帯電話の電波塔を調べ、GPSネットワークから情報を得ている。

 われわれは集団として、企業や組織がのどから手が出るほど欲しがっているビッグデータを作り出している。われわれこそがビッグデータなのだ。なぜなら、われわれはデータだからだ。

 そして、今年になるまで、われわれはそれらの巨大インターネット企業がわれわれの利益を尊重してくれていると信じており、それなりに安全だと感じていた。少なくとも、提供されるサービスの代償としてユーザーが理解し、我慢できる程度の経済的な利益を得ようとしているのだと思っていた。

アテンション経済

 そこに、Edward Snowden氏が現れ、米国家安全保障局(NSA)に関するいわゆる「暴露」が行われた。怒りが巻き起こったのは、NSAがわれわれを監視していたとされたからだけではなかった。われわれのお気に入りのインターネット企業が、秘密裏にその監視に荷担していたという主張が問題だったのだ。

 大手メディアやブログ界は爆発した。米ZDNetの寄稿者たちも、犯罪者やテロリスト、国民国家の敵から国を守るためにこれが必要である可能性があることを脇に置いて、政府を糾弾した。

 英紙The Guardianと、ある程度はWashington Postが、毎週のように新たな怒りの種を提供した。アテンション経済とページビューを得るには素晴らしいタイミングだ。

 NSAのニュースは、これでもう6カ月間も続いている。時間をかけて水滴を落とす拷問のように。それでも、The Guardianによれば、同紙はまだSnowden氏のファイルの1%しか公表していないという。

 わずか1%で6カ月だ。これは、The GuardianからNSAのニュースが今後50年間続くということだろうか?これは、同紙が長期間にわたって持続可能な新ビジネスモデルを作ったということだろうか?

 残り99%を留保していることによって、同紙は公共の福祉に貢献しているのだろうか?あるいは、単にできるだけ長く注意を引けるよう、おいしい情報を後に取っているのだろうか?

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