あなたが仕事をしていない時、ノートPCではなくスマートフォンやタブレットでインターネットにアクセスしている時間がどれだけあるだろうか?
筆者は今、ソファでくつろぎながら「MacBook Pro」を使って本記事を執筆している。しかしこの週末は、それ以外の用途でノートPCを1度も使っていない。テレビ番組を時々観るために「iPad」を使用する以外は、「Nexus 5」だけでほぼ何の問題もなく週末を過ごせる。
筆者は別に変わり者というわけではないはずだ。インターネットへのアクセスにポストPCデバイスのみを使用する人が増えてきている。そしてこれによって、企業が顧客とやり取りする方法に大きな影響が及ぶのである。
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顧客は電話でやり取りしたり、店まで足を運ぶのではなく、電子メールやウェブサイト、デジタルなソーシャルネットワークを用いてデジタルなかたちでやり取りしたいと考えている。この事実はここ数年で、あらゆる業種の企業に知れ渡っている。
そして、デジタルなかたちでの顧客とのやり取りは最近まで、デスクトップPCやノートPCといったそれまで主流となっていたデバイスを用いるのが一般的であった。企業はこうした流れに十分対応できており、それによって企業と顧客の双方にメリットがもたらされていたと言える。
しかし現在、PCが主流であった時代からモバイル機器が主流となる時代へと遷移するなか、新たな対応が求められつつある。その1つが「デスクトップを優先し、モバイルを後回しに」という方針から「モバイルを優先し、デスクトップを後回しに」という方針への転換である。
調査会社comScoreが10月に公開したホワイトペーパー「Marketing to the Multi-Platform Majority」(マルチプラットフォームを使用する多数派の人々に向けたマーケティング)には、デスクトップを優先する方針からモバイル機器を優先するという方針への遷移を示す数多くの図が掲載されている。以下はそのうちの1つである。
デジタルメディアで時間を費やす際に使用するプラットフォームのシェア(comScoreが2013年6月に米国在住の18才以上を対象として調査したもの)
「ポストPC時代」を語る際、スマートフォンとタブレットによってPCの置き換えが進んでいくという主張が常になされる。しかし、ポストPC時代を正しく理解するうえで、「実際の仕事を行うにはタブレットは力不足である」という反論も考慮する必要がある。
全般的に見ると、この反論は的を射ていると言える。抱えている作業がPCをベースにしたワークステーションの持つ有用性やエルゴノミクスを必要とする場合、PCが使用される傾向にある。通常、作業が長期間におよび、集中を要するものであれば、PCを使用する必要があるのだ。
利便性という観点から見た場合、ポストPCデバイスが勝利を収める。例えば、テレビ番組を観ている最中に、Amazonで買いたいと思っていた書籍を思い出させる何かが映し出されたと考えてほしい。こういった状況での利便性とはどのようなものだろうか?注文のために、コーヒーテーブルに置いてあるスマートフォンに手を伸ばすことだろうか、それとも立ち上がって机のあるところまで行き、ログオンすることだろうか?
それに加え、多くの人々は専用のコンピュータを必要とさえしておらず、スマートフォンだけで十分だという事実を考えた場合、comScoreの発表した数字は驚くに値しないだろう。顧客が会社とやり取りする一般的な手段は、時代とともに(a)デジタルなものになり、そして(b)PCを使わないものとなっていくわけである。