どんな形態のクラウドにも対応可能な体制を整備
--2013年は、クラウド重点化が顕著でした
「当社が扱うすべての要素は5年ほどでクラウド化され、インメモリになり、モバイル化される」とSAPは2012年の時点で言及している。実際、開発部門を統合化し、オンプレミス、クラウドの区別はなくした。ただし、クラウドと言っても使い方が異なる。例えば、ある業務だけをパブリッククラウドで利用する。基幹システムはプライベートクラウドにする。それから、IaaSとして使うのかSaaSのように使うのか。
SAPでは、アプリケーションを含めた形でBusiness as a Service(BaaS)という発想をもっているが、どんな形態であろうとも、クラウドでの対応を可能にしておこうとの考えだ。例えば、IaaSのAmazon Web Servicesとも協調しているし、パートナーのクラウド上にHANAを載せPaaSとして提供したり、さまざまな手法を考えている。クラウド戦略とビジネスプラットフォームとしてのHANAを車の両輪として、スピードと柔軟性を提供していきたい。
--クラウドを推進していくための基本的な戦略はどのようなものでしょうか
会社固有の基本となるシステムには、パブリッククラウドではなく、プライベートクラウドを適用する企業が多いだろう。だが、ある業務だけ、例えば、部品や資材の調達などはプライベートクラウドを持つ必要はない。Aribaのように多数のサプライヤーのネットワークに乗れる方が得策だ。いろいろな個別業務として持った方がいいものはパブリッククラウドに任せる。仕事の根幹として、長く使うものはプライベートの方がいいだろう。
どちらも、IaaS、BaaSでも、またどのレイヤーでも、この形態のクラウドでなければということはない。クラウドの利点は、すこしだけ使ってみる、根本的な形で利用するなど、柔軟に幅広い形態で何にでも対応できることだ。当社はそれを目指す。HANAプラットフォームにアプリケーションを持っている強みを生かしていきたい。もともとクラウド専業ベンダーではないので、クラウドを自社の資産だけで進めようとは考えていない。パートナーと提携してやっていく。そこもオープンだ。顧客やユーザー企業から見て、選択肢をそろえ、制約はできる限り取り払い、間口の広いクラウドにすることに力を入れている。