--このような施策は、将来的に何をもたらすでしょう
結果として、地下鉄などによく乗るようになったり、買い物を頻繁にしたりすることで、参加するコミュニティーは潤い、町は活性化され、生活の様式は変わる。一方、企業も仕事が変わってくる。広告はテレビで流さなくてもよくなり、チラシの類も不要になる。人々は個人向けクーポン、ほしいものの情報があれば、それで十分。
宣伝の仕方もまた変わってくる。ビジネスプロセスも変化してくる。全体として、さまざまな効果をあげることが可能だ。それがさらに進化すると、スマートシティと呼ばれるようなものができ、コミュニティーが活性化し、人の暮らしは豊かになっていく。SAPは、このような領域にも注力しており、バックエンドからフロントエンドまで技術要素を提供していくことができる。
M2MやIoTにおけるSAPの潜在的な可能性は強いと説明する安斎氏
--IoT、M2Mは、どのような方向に広げて行きますか
われわれは、これまでに、24業種向けのソリューションを展開しているが、エンターテインメントが25番目の業種となる。アメリカンフットボールのサンフランシスコ 49ersと提携し、ホームグラウンドに行くと、モバイル機器で、選手の履歴、記録などの情報を閲覧できるほか、関連商品をその場で注文して、自宅まで送ってもらうことなどができる。従来、エンタープライズが中心だった製品がエンターテインメントにも浸透し始めており、これも、IoTの1つだと言える。
--今後は、コンシューマー向けの施策も変わるのでしょうか
UI、UXの点で、SAPはいささか使いにくいとの指摘を受ける。いわば、プロ仕様で玄人好みなのだが、万人受けするかどうかということだ。そこで、コンシューマー向けにも分かりやすい、統一的な画面にしようとしている。今やエンタープライズとコンシューマー向けは垣根がなくなろうとしている。1人のユーザーはあるときはエンタープライズのシステムを使い、ある時は、コンシューマーになるのだから、その間に違和感があるべきではない。SAPは2015年には、ユーザー数を10億人にする目標を打ち立てているので、どうしてもコンシューマーの支持を得ることが求められる。。