例を挙げると、DoDのガイドラインでは「自律型および半自律型の兵器システムは、力を行使する際に指揮官とオペレーターによる適切なレベルの人間的判断が行えるように設計されていなければならない」と記されているとともに、このようなシステムは「意図しない運用や、許可のない者にシステムの使用を許してしまう事態につながりかねない誤動作を最小化できるだけの十分な堅牢さを有している」ことが要求されている。
とはいえ、このガイドラインにおける「人間が管理する自律型兵器システムは、緊急を要する、あるいは集中攻撃に対処するための局地防衛戦で人間以外を標的とする場合における、標的の選択および運用に使用できる」というくだりは、人間を狙い撃ちにする人工知能(AI)搭載兵器を除外しているようにもとれる。
一方、英国は、同国が完全自律型兵器を開発する計画はないとしている。Alistair Burt英外相は、2013年の議会において、英国軍の「兵器運用は、人間の監督と権限の下で行われるとともに、兵器使用の責任が絶対的に保証されているため、常に人間の統制下にある」ことは明白だと述べたものの、その後「英国はこういった抑制ポリシーの導入を一方的に決定しているため、殺傷能力を持った自律型ロボット工学の発展に向けた計画は現在のところ持っていない。しかし、このポリシーを国家的なモラトリアムとして公式化する意向はない」という注釈を付けた。
Noel Sharkey氏は、ICRACの議長であり、英国のシェフィールド大学で人工知能とロボット工学を研究する教授職に就いている。同氏が自律型兵器に関する軍の計画について学び始めた際、「テクノロジに対する過大評価が眼に余るようであり、あたかもテクノロジをSF的に解釈したものに見える」という点にショックを受けたという。
Noel Sharkey教授
提供:stopkillerrobots.org
同氏によると、ICRACはこの運動を通じて自律型ロボットの開発に反対しようとしているわけではないという。同氏は「私の使っている掃除機は自律型ロボットであり、私は30年にわたって自律型ロボットの開発を続けてきている」と述べた。ICRACが望んでいるのは「殺人機能」と呼ばれるものの禁止である。自律型兵器とは、いったん起動すると、独自に標的を選択し、運用できるものであるとSharkey氏は述べるとともに「運用する、とは標的を殺害するということだ。このため、機械が独自に標的を選択するという考えはわれわれにとって問題となるのだ」と語った。