「魔法のようだ」
これは、子供たちがコードの世界を体験するのを見て、3人のプログラマーがそれを表現するのに使った言葉だ。
Play-iが開発したロボット「Bo」は、子供たちのプログラムによって木琴を演奏する。
提供:Play-i
ある世界では、鮮やかな青とオレンジの色をした、1つ目ロボットが、ライオンのように吠え、明るいライトを点滅させながら、床の上の迷路を通り抜ける。
2つ目の世界では、色鉛筆で描かれた小さな赤毛の女の子が、自分のイメージの中に迷い込み、白ヒョウのぬいぐるみに助けてもらいながら、問題を解決していく。
3つ目の世界では、きらきらと光りウィンクする毛玉のようなエイリアンが、母星を旅し、スワイプによって世界を救う。
米教育省によれば、先進工業国中での米国の教育水準の順位は、数学が25位、科学が17位だ。高校卒業年次の生徒のうち、これらの科目を得意とし、科学、技術、工学、数学(それぞれの頭文字を取ってSTEM)関連の職業に興味を持っているのは、わずか16%に過ぎない。
ただし最近では、子供が将来何を目指すにせよ、計算機科学は何かしら役に立つ。非営利組織Code.orgの草の根ストラテジストであるRoxanne Emadi氏は、子供が計算機科学を学ぶための最初の一歩は、子供にそれを学ぶチャンスを与えることだと述べている。現在、米国の高校で計算機科学を教えているのは、わずか10%に過ぎない。
「問題の1つは、(コンピュータプログラミング)に早い時期から触れる機会がないことと、社会に男性のギークやナードに対する偏見があることだ」と同氏は言う。「われわれは、高校に授業を提供したいと思っているが、幼稚園から中学までで学習に使えるツールも提供している」(Emadi氏)
これらのツールを使えば、子供たちは、簡単なコンピュータのチュートリアルや「iPad」のゲームや活動を通じて、計算機科学やプログラミングの基礎を学ぶことができる。学びたいと感じるのだ。Code.orgの「コードの時間」キャンペーンの内容を紹介しよう。このキャンペーンの最初の1カ月間で、1000万人の生徒が参加し、その半分は女子だった。世界中の新興企業が、クラウドファンディングのキャンペーンやインターネットコミュニティを利用してこの流行に乗り、幼稚園就学前の子供たちから高校生に至るまで、あらゆる年齢層の子供にコーディングのリテラシーが持つ価値を教える、革新的な製品を作ろうとしている。
テクノロジを使った創造的な表現
Linda Liukas氏がコンピュータプログラミングの課題に取り組もうとするとき、彼女は自分をRubyという名前の女の子だとイメージしていた。Rubyは勇敢で堂々とした女の子で、自立しており革新的だ。言葉や数字を使って、順序に従って問題を解決する。しかし、これはすべて日常生活の一部だ。テクノロジは、創造性と密接に結びついている。
以前、コーディングのチュートリアルとして有名なサイトの1つであるCodeacademyで働いていたLiukas氏は、プログラミング言語Ruby Railsを使って、女の子にテクノロジと基本的なコーディングスキルの重要性を教える、グローバルな草の根コミュニティRailsGirlsの創設者だ。今では同団体には、テルアビブからリオデジャネイロに至るまで、さまざまな都市に160以上の支部がある。少し前、同氏は4歳から7歳の女の子向けの絵本を書くことを計画した。同氏は、これが自分のホームタウンであるフィンランドのヘルシンキで行っているフリーランス活動の副プロジェクトになると考えて、絵を描きを始めた。
「そして、あの木曜日がやってきた」とLiukas氏は言う。