自動車の所有者が少ないシンガポール
シンガポールのオンライン専門スーパーマーケット、RedMartは、食料品のジャンルでもオンライン販売の有効性を証明した。
「シンガポールでは自家用車を持っている人が少なく、消費者は食料品を持って帰るのを嫌がります。オンラインに限って販売網を展開することには多くのメリットがあります。在庫管理もその1つです。RedMartでは店舗に在庫を置く必要がないので、倉庫1つでシンガポール中の顧客にサービスを提供できます」(RedMartのCEO、 Roger Egan 氏)。
Egan氏は、オンラインに絞った事業モデルにはメリットが多いと語る。シンガポールの非常に高い不動産コストを節約できることもその1つだ。RedMartは2011年10月に創業し、2年間で順調に業績を伸ばしている。Egan氏は将来の見通しに関して非常に楽観的だ。
「私たちは、自社の事業カテゴリーを『食料品のモダントレード』と呼んでいます。東南アジア全体で680億ドル規模、シンガポールで59億ドル規模の市場があるのです。シンガポールは小さな市場と言われていますが、食料品の市場としてみた場合、小規模ではありません」(Egan氏)
Singapore PostのWesseler氏も、シンガポールを東南アジアで最も洗練された市場だという。「シンガポールに配送センターを置けば、東南アジア各地に拠点を広げることができます。シンガポールに置いた1カ所の倉庫から始めて地域の需要を満たし、ビジネスのノウハウが掴めたら、各地に倉庫拠点を拡大すれば良いのです」(Wesseler氏)
Egan氏は、シンガポール外に進出したい意志はあるものの、まずは自国内でのビジネスモデルとオペレーションの確立を優先したいという。
パネルディスカッションの参加者は、Eコマースもというビジネスジャンルの場合、その成功の大部分はカスタマーサービスにかかっている点については全員同意見だった。「ほかの都市や市場に出ていく前に、円滑な業務の仕組みや、システムの構築を進め、経済的な問題を解決するべきです」とEgan氏はアドバイスする。
Wesseler氏は、新市場参入を成功させるカギにローカライゼーションを挙げた。