有能なITスタッフに業務を「人質」にされないために - (page 2)

Mary Shacklett (Special to TechRepublic) 翻訳校正: 石橋啓一郎

2014-04-02 07:30

 筆者は何年か前、オンライン株取引システムの開発を伴う、極めて重要なプロジェクトを率いたことがある。その際、アプリケーションを動かしていたシステムソフトウェアの、トランザクション処理の専門家から支援を受ける必要があった。筆者がそのプロジェクトに欲しかった人物は、その分野では極めて優秀だったのだが、実は非協力的であり、このプロジェクトで働くのを嫌がっていることが分かった。私は、ぐずぐずと待つことはしなかった。その代わり、ずっと経験が浅い人材をプロジェクトに引き入れた。それでも、時間は想定より長くかかったものの、必要は仕事は達成することができた。とにかくプロジェクトは成功し、経験が浅かった人材は、それ以降も使える貴重なスキルを得た。そして、非協力的な従業員にプロジェクトを「人質に取られる」事態を避けることができた。

 さまざまな組織の情報最高責任者(CIO)と話をすると、災害復旧計画に、重要な技術スタッフに関する危機管理計画を組み込んでいる人がほとんどいないのに驚かされる。人員に関する危機管理計画では、主に災害で管理職が業務に就けなくなった場合の代替計画に焦点が当てられている。しかし実際には、IT業務を行う上では、鍵となる技術スタッフは管理職と同じくらい(あるいはそれよりも)重要だ。

 ある金融サービス会社のCIOから、次のような話を聞いたことがある。「われわれは数年前、サービスの1つに合わせてIT部門の文化を大きく変え、組織内の部門を再編した。このプロセスは必要なものだったが、組織再編の過程で、領域横断的なサービス文化の一部になるのが気に入らず、従来の技術的専門性に閉じこもって運用を続けたいと考えている重要な技術者を失う危険があることに気づいた」

 米ドルで年収6桁級のトップレベルの専門家が、もっと居心地のいい会社に何人も転職するというのは、CIOが最も恐れる事態だ。

 では、何がこのCIOを救ったのだろうか。

 「私は重要な技術者を失うことを予想し、そのことをリスク管理戦略に含め、これについて上司と議論し、承認を得た。それによって、失った職位に人材を再雇用できるまで、社外のITコンサルタントからなる一時的なスタッフと共に業務に当たる準備を整えた」と、このCIOは話した。

 現在では、この組織は再び充実した社内ITスタッフを揃えており、新たなサービスの方向性を採用したことで、さらに潜在力を高めている。

この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。

ZDNET Japan 記事を毎朝メールでまとめ読み(登録無料)

ホワイトペーパー

新着

ランキング

  1. ビジネスアプリケーション

    生成 AI 「Gemini」活用メリット、職種別・役職別のプロンプトも一挙に紹介

  2. セキュリティ

    まずは“交渉術”を磨くこと!情報セキュリティ担当者の使命を果たすための必須事項とは

  3. セキュリティ

    マンガで分かる「クラウド型WAF」の特徴と仕組み、有効活用するポイントも解説

  4. ビジネスアプリケーション

    急速に進むIT運用におけるAI・生成AIの活用--実態調査から見るユーザー企業の課題と将来展望

  5. クラウドコンピューティング

    Snowflakeを例に徹底解説!迅速&柔軟な企業経営に欠かせない、データ統合基盤活用のポイント

ZDNET Japan クイックポール

所属する組織のデータ活用状況はどの段階にありますか?

NEWSLETTERS

エンタープライズコンピューティングの最前線を配信

ZDNET Japanは、CIOとITマネージャーを対象に、ビジネス課題の解決とITを活用した新たな価値創造を支援します。
ITビジネス全般については、CNET Japanをご覧ください。

このサイトでは、利用状況の把握や広告配信などのために、Cookieなどを使用してアクセスデータを取得・利用しています。 これ以降ページを遷移した場合、Cookieなどの設定や使用に同意したことになります。
Cookieなどの設定や使用の詳細、オプトアウトについては詳細をご覧ください。
[ 閉じる ]