日立製作所とシャープ、三井不動産、日建設計は4月24日、千葉県柏市の「柏の葉スマートシティ」の省エネや災害対応、コミュニティ活動を支える中核システムとして、エリアエネルギー管理システム(Area Energy Management System:AEMS)「柏の葉AEMS」と、住宅向けエネルギー管理システム(Home Energy Management System:HEMS)「柏の葉HEMS」を開発し、5月中旬から運用を開始すると発表した。
柏の葉スマートシティでは「環境共生」「新産業創造」「健康長寿」を目標にかかげ、省エネや災害対応、コミュニティ活動を“街”と“住まい”で実現するためのプロジェクトが実施されている。
日立や三井不動産、日建設計が共同開発した柏の葉AEMSは、エリア一帯に分散する商業施設や住宅などの各施設と、太陽光発電や蓄電池などの電源設備をネットワークでつなぎ、地域エネルギーが一元管理できるシステム。
各施設のエネルギー使用状況や気象情報などの把握や分析に基づき、街全体で効率的な発電や蓄電、電力融通の制御し、電気料金やCO2の排出量の低減、災害時の電力を維持するという。今後柏の葉AEMSは、柏の葉スマートシティで運用されている電気自動車や電動バイク、自転車をシェアする交通システムや、リストバンド型の活動量計と通信機能付き体組成計を使った健康システムなどと連携し、街の情報をすべて管理する地域情報連携基盤になる予定とした。
シャープは三井不動産とともに、柏の葉AEMSと連携する柏の葉HEMSを開発。住戸内のエネルギー使用状況を数値化するだけでなく、家電機器の制御や生活スタイルに適した省エネアドバイスを提供する。AEMSと連携し、他世帯や街全体との省エネ状況の比較や、省エネ達成度合いに応じて地域ポイントが貯まる「柏の葉ポイント」や、地域のイベント、交通情報、健康サービス、災害発生時の防災情報などをHEMS専用のタブレット端末で確認できるようになるという。
柏の葉AEMSは、三井不動産が柏の葉スマートシティで開発を進める複合施設内で5月中旬より試験稼働し、7月より本格稼働する「柏の葉スマートセンター」を中央管理拠点とし、周辺街区を含めた約12.7ヘクタールのエリア一帯に導入するとした。また柏の葉HEMSは、複合施設内の総戸数145戸の賃貸住宅に5月から導入する。
開発したAEMSとHEMSを活用し、柏の葉スマートシティで大規模に導入されている太陽光発電やガス発電、蓄電池など分散電源設備の地域エネルギーと、電力会社からの系統電力を組み合わせ、スマートグリッドを運用していく予定という。
日立は柏の葉AEMSのシステム構築と運用サポート、リチウムイオン蓄電池システムなどの設計や製作を担当。シャープは柏の葉HEMSのシステム構築と運用サポートした。三井不動産は柏の葉スマートシティの全体構想の策定や推進、エネルギーマネジメントの要件を設定。日建設計は環境、エネルギー、事業継続性に関するコンセプト提案などのコンサルティングを実施した。
柏の葉AEMSと柏の葉HEMSのシステムネットワーク図