本記事では、モノのインターネット(IoT)を実現する際に留意すべきセキュリティ上の5つのポイントを解説する。これらのポイントはIoTのインフラ整備のために顧客とともに作業してきた複数のプロフェッショナルとのインタビューから洗い出したものだ。
IoT型のネットワークを業務で構築しようと考えているのであれば、セキュリティが最も重要になると認識しておかなければならない。そして、セキュリティにまつわるそれぞれの観点は、どれか1つが他よりも重要となるわけではない。リモートデバイスからデータ収集サーバに至るまでのどこかに問題が潜んでいると、すべては台無しとなってしまうのだ。
筆者の考えるセキュリティ面でのポイントは次の5つだ。
- デバイスのセキュリティ
- ネットワークのセキュリティ
- サーバのセキュリティ
- データのセキュリティ
- OSのセキュリティ
デバイスのセキュリティ
データを収集するデバイスには、物理的な弱点や、OSの弱点、データにまつわる弱点、ネットワークの弱点といったセキュリティ関連のさまざまな弱点が存在する。物理的な弱点は、あらゆるデバイスのセキュリティにおいて最大の急所と言える。物理的なセキュリティ侵害によって、あらゆることが可能になるというのは、セキュリティに疎い人であっても分かるはずだ。このため、デバイスの物理的なセキュリティは、サーバの物理的なセキュリティと同じくらい重要なのである。
こういったデータ収集デバイスのOSやローカルデータ、ネットワーク接続は、そのセキュリティレベルを最大限に引き上げていたとしても、物理的なセキュリティ侵害に対しては無力となる。少なくとも、デバイスの機能が停止され、データの収集が不可能になってしまうだろう。つまり、損害が発生するとともにサービスの停止も余儀なくされるわけだ。
最悪のケースでは、デバイスを盗まれるだけでなく、データやネットワーク設定情報(ユーザー名やパスワードを含む)を読み取られたり、一時的にデバイスをオフラインにされ、マルウェアを仕込まれた後、オンライン状態に戻されるといったことも考えられる。また、マルウェアを仕込まれた場合には、その事実すら検知できない場合も考えられる。
さらに、本当の攻撃対象がデバイスやデバイス内のデータではなく、マルウェア感染を通じたネットワーク内やデータセンター内の他の資産である場合もある。