5月14日のダウ平均株価は、前日101.47ドル(0.61%)安の16613.97ドル。IT企業の多いNASDAQ平均株価は前日比29.54ドル(0.72%)安の4100.63ドル。S&P 500は8.92ドル(0.47%)安の1888.53ドルだった。
14日の米平均株価。DJIがダウ、INXがS&P500、IXICがNASDAQ。(出典:Google Finance)
IT分野の主要企業の動きは以下の通り。表の17社中、上昇したのは5社、12社が下落した。上昇率が最も高かったのは0.58%高のEMC。下落率が最も高かったのは6.46%安のSony(ADR)だった。
ソニーは5月14日に、2014年3月期通期の連結業績決算を発表し、1284億円の赤字になったことを明らかにした。売上高で前年比14.3%増の7兆7673億円となったものの、営業利益は同88.3%減の265億円、税引前純利益は同89.4%減の257億円、当期純損失が1284億円の赤字になった。PC事業の損失が2013年3月期の386億円から917億円に拡大したこと、加えて電池事業やディスク製造事業においても減損を計上したことが理由という。
米投資情報サイト「24/7 Wall St.」でDouglas A. McIntyre氏はソニーについて、「買い手にとって明らかに価値があるのは映画部門だけで、これを売却するべきだ」と指摘した。ソニーは今期(2015年度)もPC事業からの撤退を中心とした構造改革費用で500億円の赤字を計上する計画を明らかにした。一方、映画や音楽を含むエンターテインメント事業や金融事業は黒字を確保。映画事業は8296億円を売り上げ、516億円の営業利益を計上した。「売却する場合、映画部門は1兆円ほどの価値はあるだろう。興味深かったのは、金融部門が9938億円を売り上げ、そこから1703億円の利益を生み出していること」(McIntyre氏)。
同氏は「多くのビジネススクールの教授は、毎年赤字を出しているような企業はビジネスの数を減らす必要があると教える。これは現在のソニーにも当てはまる。なぜなら、多くの事業を持つことは、そのすべてを弱体化してしまうからだ」と指摘した。
「もの言う株主」として話題になった、Third PointのDaniel Loeb氏がソニーにエンターテインメント事業の切り離しを迫ってから1年以上が経った。「平井一夫社長はこの提案を断ったが、振り返ってみれば、この提案に乗ってPC事業とともに他の事業も売却することで、貸借対照表(バランスシート)をきれいにすることを望むかもしれない」との勘ぐりも加えながら「平井氏には、価値がありながらも自社の他事業と関連しないものを売るという財務的な手段を採るチャンスがある」と提案した。
実際問題として、現在のソニーが黒字事業を売却できるのかといった見方もあり、バランスシート改善を優先するMcIntyre氏の意見は教科書的とも言える。いずれにしても、このコラムがGoogle Financeのソニー株のページでアクセスランク1位になっていることなどからも、世界の投資家がソニーの構造改革に興味を持っていることはうかがえる。
(出典:Google Finance www.google.com/finance)