「Mac OS X Yosemite」で何が変わる?--ビジネスユーザーに役立つ新機能を紹介 - (page 2)

AirDropの「iOS」との互換性

　筆者も含めて、Macのビジネスユーザーが必要とする機能の1つが、「iOS」搭載端末とMacの間で「AirDrop」を使ってファイルを転送する機能だ。Yosemiteはそうした互換性を導入することで、iOS搭載のスマートフォンやタブレットと、OS X搭載コンピュータの間の、シンプルなローカルでのファイル共有の問題を解決した。

　会議室や空港、コーヒーショップ、そのほかにもクライアントとの打ち合わせ、プレゼンテーション、部門会議、セミナーなどが定期的に開かれる場所に集まることの多いビジネスユーザーたちは、Appleの実証済みのAirDropテクノロジを使って簡単にファイル転送ができるのはこの上なく便利だと気付くだろう。この機能は、LANや、「Dropbox」などのファイル共有サイトへの依存も減らすだろう。

Handoff

　「Handoff」もやはり、今から5年後には、ユーザーが昔はそれなしでどうしていたのかと不思議がるであろう機能だ。ビジネスユーザーは、フライト中にiPadでメールを書き始めたり、ドキュメントやスプレッドシートを作成したりするのが当たり前になっている。着陸すると、自分のデスクトップコンピュータにメッセージの下書きを転送したり、未完成のファイルをメールで送ったりする。デスクトップコンピュータに戻ると、iCloudやメールメッセージの中から、転送したメッセージの下書きや作成途中のドキュメントやスプレッドシートを見つけ出す。このプロセスはスムーズではないし、効率も悪い。

　Handoffを使うと、Yosemiteの左下隅に小さな通知ウィンドウが表示され、ユーザーが別のデバイスでメールの下書きを作成中であったことや、ドキュメントやスプレッドシートの作成作業中であったことを知らせる。Yosemiteでは、ユーザーは作業中のプロジェクトを選び出し、中断したところからMacに引き継いで、基本的には途切れることなく作業を続けられる。この機能によって、複数のデバイスを使いながら、現代のビジネスで課題となっていること、つまりオフィスから客先、会議の場所、そしてまたオフィスへと絶えず移動しているという状況への対処が飛躍的に簡単になる。

Continuity

　しかしYosemiteで最も重要な機能は、気付きにくい形で近づいてきているのかもしれない。「Handoff」という「Continuity」機能に加えて、Appleの開発者はOSに電話サービスを統合した。電話とMacの両方が同じWi-Fiネットワーク上で動作していれば、ユーザーは自分のMacをソフトフォンと同様に使うことができる。YosemiteではMac上で、着信した電話の発信者番号情報を受け取ることができる。Yosemite搭載のMacを使えば、自分のコンピュータをスピーカフォンとして設定でき、連絡先やウェブページ上の電話番号をクリックして、電話をかけることも可能だ。

　Macをソフトフォンとして使えるようにするというのは小さなアップデートに思えるが、ビジネスユーザーが電話を受発信する方法を大きく変える可能性がある。電話サービス（相手の確認、着信への応答、発信）をデスクトップやノートブックからできれば、同様の機能を持つサードパーティー製電話システムへの依存度が減る可能性が高い。

使いやすくなったOS X

　AppleがOSに多くの機能を追加するほど、概してOSの要素は使いやすくなる。AppleはYosemiteによって、コンピュータに関するビジネスユーザーの問題を解決するために、洗練された、一見ささやかな方法で、小さいながらも漸進的な発展を続けている。こうしたイノベーションを長い間積み重ねれば大きな違いになる。ビジネスユーザーはこの10番目のOS Xによって大きな前進を遂げるだろう。