2020年に向けてのIT戦略
遠藤氏は、これまでの1年を通じて、情報システムや年金関連システム、ハローワークシステムなどの効率化やコスト削減の見通しができたという。さらに、今後は年間運用コストの3割の圧縮を目指し、業務内容まで踏み込んだ改革(Business Process Re-engineering:BPR)の推進やマイナンバー、農地台帳電子化など、国や地方、地方間のシームレスな連携も推進していくという。
また、IT利用や活用の促進として、教育環境自体のIT化を図り、小学校のプログラミング教育など、老若男女がIT関連の知識を身につけるための取り組みを促進していくとした。
こうしたITリテラシーの向上を目指すために、「ITコミュニケーション活用促進会議」を設置し、「ネット意識革命宣言」を掲げ、IT投資やITを通じたコミュニケーションシステムの構築などを図っていくために動き出しているという。
2020年の東京オリンピックも含めて、日本全体がIT戦略を通じて成功に導くために、遠藤氏は5つの要素を重点にしているという。(1)各府庁幹部リーダーシップの発揮や、事業部及びIT部門の責任などを可視化させる「役割と実行責任の明確化」。(2)定量的なKPIを設定し、投資対効果の明確化させ、PDCAサイクルを回す「国民に対する説明責任の履行」。(3)関係機関含めた全体像の把握や業務フロー、システムの現状分析と課題の抽出といった「現状把握の徹底」。(4)国民に対して使い勝手のよいサービスを提供し、横断的かつワンストップなサービスを目指す「お客様視点でのサービス提供」。(5)目標実現の障害となる組織や制度、ルールを打破する「業務改革の徹底」だ。これらを掲げ2年目の政府CIO職務に従事していきたいと語った。
「現状把握とコスト削減や見直しに力を入れた1年だった。削減達成の見通しが立ってきたからこそ、今後数年かけてさまざまな分野のIT利用を促進したい」