奈良先端大、ネットワーク環境更新--Hadoop実行基盤や遠隔バックアップも導入

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2014-06-27 08:00

 奈良先端科学技術大学院大学(奈良先端大)は2013年度に調達した、情報基盤や計算機の環境強化や災害時の事業継続も考えたシステムを構築、2014年度から逐次、本格運用を始めている。奈良先端大と一部を受注した伊藤忠テクノソリューションズ(CTC)が6月25日に発表した。

 新たに導入したシステムは(1)全学情報環境システム、(2)高度統合情報基盤ネットワークシステム、(3)遠隔拠点間データバックアップシステム、(4)アドホック型衛星インターネット通信システム――の4つ。(1)~(3)はCTCが、(4)はスカパーJSATが受注、奈良先端大との協力体制でシステムを構築した。

 (1)の全学情報環境システムでは、国内の教育機関としては初めてビッグデータ向けアプライアンス「Oracle Big Data Appliance」を大容量データ処理ノードとして導入した。オープンソースの分散並列処理プログラミングフレームワーク「Apache Hadoop」実行基盤として活用している。

 データ保存では、汎用分散ファイルシステム「GlusterFS」をべーすにした広帯域分散ファイルサーバを採用したほか、超低電力高密度型カートリッジサーバ「HP Moonshot System」を3シャーシ135ノード分で13Uのスペースに導入した。15.8TFLOPSのGPGPUを搭載した超並列演算ノード「HP ProLiant SL6500 Scalable System」も導入している。

全学情報環境システム
全学情報環境システム概略図(CTC提供)

 (2)の高度高度統合情報基盤ネットワークシステムでは、100Gbpsの帯域で相互に接続されるコアスイッチとしてジュニパーネットワークスのイーサネットスイッチ「EX 9200」シリーズを教育機関で国内で初めて導入。キャンパス内全域のフロアには20Gbpsの帯域を提供するフロアスイッチを設け、これらを中心にキャンパスネットワークシステムを更新した。IPv4/IPv6によるIPスイッチング、MPLS(Multi Protocol Label Switching)やVPLS(Virtual Private LAN Service)によるソフト上の仮想ネットワークを使用することで、広帯域で高可用性、高機能を備えたサービスを提供する。

曼陀羅ネットワーク
曼陀羅ネットワーク概略図(CTC提供)

 (3)の遠隔拠点間データバックアップシステムでは、地震対策が施されたコンテナ型データセンターを活用し、ジュニパーのサービスゲートウェイ「SRX 3400」シリーズの暗号通信方式のIPsecVPNで沖縄科学技術大学院大学と接続、ユニファイドストレージ「Oracle ZFS Storage ZS3-2」でデータを保管して、事業継続計画(BCP)として活用する。

 ストレージは沖縄科学技術大学院大学と共有するためホスト側でデータを暗号化している。暗号化処理軽減のため、UNIXサーバ「Oracle SPARC T4-1」に搭載のSPARC T4プロセッサに内蔵された暗号化アクセラレータを活用している。

遠隔拠点間データバックアップシステム
遠隔拠点間データバックアップシステム概略図(CTC提供)

 (4)のアドホック型衛星インターネット通信システムでは、被災地やデジタルデバイド(情報格差)地域で簡易な操作でネットに接続することを目的に世界初の自律式車載型衛星通信システムを導入した。地震や津波などで地上系通信インフラが損壊した場合でも、地上系の通信網に依存することなく、通信衛星経由でネット環境を構築する。同システムはハイブリッド車で運搬、電源を供給でき、電源投入後、ワンタッチ操作だけで目的の衛星を自動的に捕捉できるという。

アドホック型衛星インターネット通信システム
アドホック型衛星インターネット通信システム概略図(CTC提供)

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