発表会見の当初、製品の経緯を知らなかった筆者はMaaS360と聞いて、System/360と関連した命名のストーリーが何かあるでは、と思った。関係者に聞くと、それはどうやら勘繰り過ぎだったようだが、360という表現に込められた「あらゆるニーズに対応する」という意味は同じだろう。
新旧の360――どうせなら、プロモーションに使ってみてはいかがか。
「今後のモバイルセキュリティにおけるユーザー認証では、多様な認証方式が求められる」 (EMCジャパン 花村実 RSA事業本部シニアビジネスデベロップメントマネージャー)
EMCジャパンの花村実 RSA事業本部シニアビジネスデベロップメントマネージャー
EMCジャパンが先ごろ、サイバー犯罪の最新動向について記者説明会を開いた。説明に立った花村氏の冒頭の発言は、今後のトレンドにおいて最も注目すべき点として述べたものである。
EMCではこのほど「2014年の4つのサイバー犯罪トレンドと中間報告」と題したレポートをまとめた。花村氏はこれに則って具体的な事例を交えながら、4つのトレンドについて説明した。ここではそのポイントだけ紹介しておく。
1つ目は、「モバイルの脅威の広がりと高度化」である。同氏はモバイルの中でもAndroid端末への脅威が広がっていると指摘。最近では金銭目当ての攻撃が増えており、特にオンラインバンキングが狙われるケースが目立っているという。
2つ目は、仮想通貨の動向について。「ビットコインが普及して窃盗のターゲットになり、新しい偽通貨の出現がサイバー犯罪をさらに露見しにくくするだろう」としている。
3つ目は、マルウェアの動向について。「マルウェアがますます巧妙化し、APT攻撃は衰えず、POSマルウェア攻撃が頻発する」としている。
4つ目は、「モバイルによるユーザー認証方式の再定義」である。同氏によると、モバイルセキュリティにおいては従来のようなユーザー名とパスワードによるユーザー認証だはなく、生体認証をはじめとした多様な認証方式をモバイル端末に組み入れることで、より高度な安全性の確保が求められるようになるという。
ちなみに、EMCが2013年7月に買収したPassBanでは、音声、ロケーション、顔、端末のモーションなどを使った認証技術を保持していることから、EMCはこの技術をモバイルに活用する方向で新たなソリューション展開を目指している。同氏はこの多様な認証方式を「多要素認証」と呼び、EMCとしても注力していくことを強調した。
この多要素認証という言葉、セキュリティ分野における今後のキーワードの1つになるかもしれない。