松岡功の「今週の明言」

IBMが強調するモバイル分野でのアドバンテージ

松岡功

2014-07-04 11:45

 本連載「松岡功の『今週の明言』」では毎週、ICT業界のキーパーソンたちが記者会見やイベントなどで明言した言葉をいくつか取り上げ、その意味や背景などを解説している。

 今回は、日本IBMのVivek Mahajan 専務執行役員と、EMCジャパンの花村実 RSA事業本部シニアビジネスデベロップメントマネージャーの発言を紹介する。

「企業向けモバイルソリューションを包括的に提供できるのが当社の強みだ」
(日本IBM Vivek Mahajan 専務執行役員)

日本IBM Vivek Mahajan 専務執行役員
日本IBM Vivek Mahajan 専務執行役員

 日本IBMが先ごろ、端末やアプリケーション、コンテンツなどを統合管理するモバイルソリューション「IBM MaaS360」の提供を開始すると発表した。同社の専務執行役員でソフトウェア事業を担当するVivek Mahajan氏の冒頭の発言は、その発表会見で、同社としてソーシャルやビッグデータ(アナリティクス)、クラウド、セキュリティとともに重点分野に掲げているモバイルソリューションへの意気込みを語ったものである。

 Mahajan氏は、モバイル分野においては、モバイルによる洞察を活用し顧客の状況に応じる「つながり(Engage)」、効果の高いモバイルアプリの構築と展開を行う「構築(Build)」、パフォーマンスを最適化するモバイル基盤を守り管理する「守る(Protect)」、成長を加速しROIを高める「変革(Transform)」といった4つのユーザーニーズがあると説明。「IBMはこの4つのニーズに全て対応したソリューションを提供している」とし、冒頭の言葉を続けた。

 4つのニーズの中で「守る」の領域に位置付けられる新製品のMaaS360は、IBMが2013年11月に買収した米Fiberlink CommunicationsがSaaS型クラウドサービスで提供していたもの。モバイル分野においてこれまで単体で提供されていたモバイルデバイス管理機能やモバイルアプリ管理機能、モバイルコンテンツ管理機能をまとめて提供するエンタープライズモバイル管理(EMM)ソリューションとなっている。

 さらに、IBM版として今回、SaaSに加えてシステムを自社で運用するユーザーやサービスプロバイダー向けにオンプレミス版のソフトウェアライセンス形態でも提供するとしている。

 MaaS360のさらに詳しい内容については関連記事を参照いただくとして、この発表会見で印象深かったのは、Mahajan氏の冒頭の発言にもあるように「包括的なソリューション」であることを強調していた点だ。企業内でのモバイル活用を最大化しながら、ユーザーの生産性を損ねることなく、高度なセキュリティを確保するとともに、企業内システムとの連携もスムーズに行えることを重ねて説明した。

 1つ気になったのは製品名のMaaS360だ。Fiberlink Communicationsがおよそ10年前から提供してきたサービスで、すでに5000社ほどが利用していることから、IBMは名称をそのまま継続して使用したようだ。それにしても、「360」といえば今年で生誕50年を迎えた同社の代表的な製品である汎用コンピュータ「System/360」を思い出す。

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