システム更新の必要性については、まさしくこれから業界全体で一層注力して、ユーザー企業に説いていかなければならない。同時に、個々のベンダーがこれから注力すべきなのは、大塚氏の冒頭の発言にある「魅力的な提案」だ。今回のシステム更新はクラウド利用などとも連携できることから、ベンダーが魅力的な提案を打ち出せるチャンスでもある。さて、勢いに乗る大塚商会がどんな魅力的な提案を打ち出すか、注目しておきたい。
「これからの企業におけるモバイル管理にはEnterprise Mobility Management(EMM)が求められる」 (米MobileIron Bob Tinker CEO)

米MobileIronのBob Tinker CEO
企業向けモバイル管理システムを手掛ける米MobileIron(モバイルアイアン)が先ごろ、クラウド型モバイル管理サービス「MobileIron Cloud」を国内で提供すると発表した。サービスの内容はEnterprise Mobility Management(EMM)と呼ぶソリューションだ。同社最高経営責任者(CEO)のBob Tinker(ボブ・ティンカー)氏の冒頭の発言は、その発表会見で、EMMの将来性について語ったものである。
MobileIron Cloudは、端末を管理する「Mobile Device Management(MDM)」に加え、業務アプリを管理する「Mobile Application Management(MAM)」、ファイル配信などを行う「Mobile Content Management(MCM)」の機能を備えている。同社ではこれら3つの機能を合わせてEMMと呼んでいる。
これまで企業におけるモバイル管理については、MDMが注目されてきた。だが、Tinker氏は「企業がモバイルを戦略的に活用していくためには、MDMだけでは足りない」と断言。端末だけでなく業務アプリやファイルなどのコンテンツを一元的に管理できるEMMが必要になると強調した。
MobileIron Cloudの詳しい内容については関連記事を参照いただくとして、ここで記しておきたいのはTinker氏率いるMobileIronのベンチャー魂である。
2007年設立のMobileIronは、企業向けモバイル管理システム分野に特化したベンチャー企業だ。MDMからEMMへと拡大し、オンプレミスからクラウドへの対応も先陣を切ってきたという。2009年の初受注以来、顧客数は世界で6000社以上を数え、2013年の売上高で1億ドル超えを果たした。
ただ、この分野の競争はここ数年、どんどん激しさを増しており、IBMやSAPなどの大手による専業ベンダーの買収も相次いでいる。そうした中で、確固たる顧客ベースを築きつつあるMobileIronの奮闘ぶりがにわかに注目される形となっている。
今後、大手と真っ向から戦っていけるのかという記者の質問に対し、Tinker氏は「専業特化してきたからこそのノウハウを蓄積してきており、この分野の技術では先端と自負している。また、顧客から中立であることを支持してもらっている。この分野だけを見ると、逆に競合となる大手は存在しない。MobileIronが専業大手になる可能性は十分にある」と自信をのぞかせた。
その心意気や良し。こうしたベンチャーには大いにがんばってもらいたい。