本連載「松岡功の『今週の明言』」では毎週、ICT業界のキーパーソンたちが記者会見やイベントなどで明言した言葉をいくつか取り上げ、その意味や背景などを解説している。
今回は、大塚商会の大塚裕司 代表取締役社長と、米MobileIronのBob Tinker 最高経営責任者(CEO)の発言を紹介する。
「Windows Server 2003のサポート終了に伴うシステム更新需要に向けて魅力的な提案をしっかり行っていきたい」 (大塚商会 大塚裕司 代表取締役社長)
大塚商会の大塚裕司 代表取締役社長
大塚商会が先ごろ、2014年度上期(2014年1~6月)の決算を発表した。大塚氏の冒頭の発言は、その発表会見で、マイクロソフトのサーバ用OS「Windows Server 2003」のサポートが2015年7月15日に終了することを受けて、今後高まるシステム更新需要に向けての意気込みを述べたものである。
同社の2014年度上期の連結業績は、売上高が前年同期比16.8%増の3324億1100万円、営業利益が同24.6%増の242億8600万円、経常利益が同32.9%増の247億9600万円、純利益が同34.2%増の150億1600万円と、上期では5期連続の増収増益で過去最高となった。
好調の要因は、景気回復に伴って企業の投資マインドが向上したことに加え、MicrosoftのPC用OS「Windows XP」のサポートが4月で終了したことによるPCの買い換え需要が大きく寄与した点にある。大塚氏によると、「買い換え需要は4月以降も続いている」という。
2014年度(2014年12月期)の連結業績見通しについては、売上高が前年度比6.3%増の6000億円、営業利益が同9.1%増の370億円、経常利益が同11.9%増の375億円、純利益が同8.4%増の219億8000万円と予想。初の売上高6000億円超えを狙う。
その追い風となるのが、Windows Server 2003のサポート終了に伴うシステム更新需要である。サポートが終了すると、セキュリティ上、非常に危険な状態になることから、同OSを搭載したサーバを使用中の企業は新しい環境へ移行する必要がある。しかもそれが急がれるのは、システム更新だけに移行作業の時間がそれなりにかかるからだ。
大塚氏もこのシステム更新需要について、「PCの買い換えと違って、システムの構築や動作検証などが必要になることから、そろそろ取り組まなければいけない時期に来ている」と訴える。
だが、実際の動きは「まだまだこれから。システム更新が必要なことが、まだあまり認知されていないというのが実感だ。当社も告知を行ったりセミナーを開いたりしてシステム更新を促しているが、市場全体としてまだまだ認知が広がっていない」と懸念する。