本連載「松岡功の『今週の明言』」では毎週、ICT業界のキーパーソンたちが記者会見やイベントなどで明言した言葉をいくつか取り上げ、その意味や背景などを解説している。
今回は、米EMCのBrian Gallagher エンタープライズ&ミッドレンジシステム部門プレジデントと、日本オラクルの三露正樹 常務執行役員の発言を紹介する。
「従来のストレージの概念を超えたエンタープライズデータサービスプラットフォームを提案したい」 (米EMC Brian Gallagher エンタープライズ&ミッドレンジシステム部門プレジデント)

米EMCのBrian Gallagher エンタープライズ&ミッドレンジシステム部門プレジデント
EMCジャパンが先ごろ、ハイエンドストレージ「EMC VMAX」、スケールアウトストレージ「EMC Isilon」、オールフラッシュストレージ「EMC XtremIO」において、それぞれ新製品を発表した。米EMCでこの分野の事業責任者を務めるBrian Gallagher(ブライアン・ギャラガー)氏の冒頭の発言は、その発表会見で、とくにハイエンドの新製品「EMC VMAX3」について新しい概念を提案したことを強調したものである。
Gallagher氏によると、VMAX3は「エンタープライズデータサービスを提供するデータセンターに求められる機能をすべて盛り込んだ」という。その中核となるOSには、ハイパーバイザ型の「HYPERMAX OS」を搭載。ストレージ内に立ち上げた仮想環境でクラウドアクセスやストレージ階層化、データ保護といったデータサービスを施せるようにした。
また、「Dynamic Virtual Matrix」と呼ぶ新アーキテクチャにより、処理能力を動的に割り当てることで、混合ワークロード全体を通じてサービスレベルの要件を満たせるようにしたという。VMAX3はこうした新技術を採用しながら、従来に比べて総所有コスト(TCO)を半減する一方、3倍のパフォーマンス向上を図ることができるとしている。
EMCがVMAX3でとりわけターゲットにしているのが、ハイブリッドクラウド環境である。Gallagher氏は、「VMAX3により、データセンターとパブリッククラウドを連携するハイブリッドクラウド環境において、最適な場所で求められるワークロードに対応するデータサービスを提供する基盤を構築することが可能になる」と力を込めた。
今回のストレージ新製品群は、EMCにとってまさしく屋台骨となるものだ。とりわけハイエンドのVMAXはストレージベンダーとして確固たる地位を築いてきた同社の代表的な製品である。そうした同社のストレージ製品開発に、25年以上にわたって携わってきたのがGallagher氏である。
そのGallagher氏が日本においても新製品群を発表するとともに、VMAX3において打ち出した「エンタープライズデータサービスプラットフォーム」という新しい概念について懸命に説明していたのが印象的だった。