これらのTier1企業では、ハードウェアが短いサイクルで置き換えられる。Stephen氏によると、Tier1企業がすぐに利用するために40フィートコンテナに満載された2500台のサーバを納品したら、その8カ月後にコンテナ一杯の新しいマシンに置き換えられた事例があるという。
対照的に、HPが米国時間8月28日に発表したエンタープライズ向けサーバ(例えば、新しい「HP ProLiant DL360」や「HP ProLiant DL380」、低価格の「HP ProLiant DL160」や「HP ProLiant DL180」などのシリーズ)が個々のエンドユーザー企業に採用されるペースは、それよりもはるかに遅いだろう。
Stephen氏は、「従来のITの世界では、大半の企業は3年ごとに買い換えを行っていた。今では、ほとんどの人がそのサイクルを5年に延長している」と述べ、最新のProLiantシリーズにアップグレードする企業は、3世代前のマシンを使用している可能性が高い、と付け加えた。
同氏は、「2013年、こうした種類のサーバを求める従来型のIT市場が足を止めた」と述べ、銀行がデータセンター資産を買い替え始めていることを受けて、その市場は今、復活し始めたところだ、と付け加えた。
エンタープライズによるサーバの需要は2013年に停滞したが、クラウドプラットフォーム上のインフラストラクチャをレンタルする従業員が増え始めた、とStephen氏は述べた。このトレンドは今後も続くと同氏は考えている。
「最高情報責任者(CIO)に『従業員はAmazonを使っているか』と尋ねたら、ほとんどの人は『使っていない』と答えるだろう。しかし、適切な調査を行ったら、その組織の多くの人がAmazonのサービスを利用していることが分かるはずだ。なぜならIT部門は新しいものは何も導入しないし、お金も全く使わないからだ。従来型の市場が再び拡大することはないだろう。時間が経てば、人々はITを実行する別の方法に移行するからだ」(同氏)
HPは「Moonshot」シリーズによって、サーバ製品の拡充も行っている。Moonshotは高密度に搭載できるように設計された超小型サーバカートリッジで、43Uラックに数百台を収めることが可能だ。コンピュータに大きな負荷をかけない特定のワークロードを並列処理するのに最適な、省電力で効率的なコアプロセッサがそれぞれのカードリッジを動かす。現行のカートリッジは、Intelの「Atom」CPUとAMDの「X2150」APUをベースとしており、HPは現在、リリースに先立って64ビットARMベースのカートリッジをテストしている。Stephen氏によると、ホステッドデスクトップにサービスを提供する「HP ProLiant m700」の機能は、顧客から好評を得ているという。
ただし、ODMの売り上げを正しく理解することが重要だ。今でも頂点にいるのは従来のOEMで、IDCによると、HPは2013年、サーバの販売で132億ドルの売り上げを記録したという。これは、ODM各社の売り上げを合計した金額のほぼ5倍だ。さらに、Stephen氏によれば、エンタープライズ向けのHP ProLiant DL360は世界で最も人気の高い2ソケットサーバであり、HPの最新世代のProLiantサーバはエンタープライズだけでなく、より小規模なTier2やTier3のサービスプロバイダーもターゲットにしているという。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。