Hewlett-Packard(HP)は世界最大のサーバメーカーかもしれないが、同社が2013年にデータセンターへのボックス販売で得た売り上げは6.2%減少した。一方で、アジアの低価格サーバメーカーは同年に売上高を50%伸ばした。
それはなぜだろうか。Huawei(ファーウェイ)やSupermicro、Quanta Computer(広達電脳)、Wistronといったアジアのメーカーは、西のGoogleとAmazon、東のAlibaba GroupとTencentに代表される世界最大級のインターネット企業の巨大なコンピュータハードウェアニーズを満たしているからだ。
広範なオンライン事業と拡大するクラウドサービスを支えるため、これらの企業は一度に何千台ものサーバを購入し、早ければ8カ月でハードウェアを買い替えている。
これらの巨大インターネット企業(IT企業全体でのいわゆる「Tier1サービスプロバイダー」)は通常、サーバとその周辺のインフラストラクチャの設計を自ら管理して、余計なハードウェアを撤去し、ランニングコストを最小限に維持する。また、カスタムソフトウェアスタックの構築も行う。
こうした余計な要素のない、仕様通りに構築されたボックスは、従来HPがエンタープライズに提供してきた高級なサーバやソフトウェアとは大きく異なるが、先述したアジアのODM(委託元ブランドでの設計製造)各社は、まさにそうしたボックスを提供している。このような理由から、HPは、これらの大企業の急速に拡大する需要と、従来型サーバ市場の両方に対応しようとしている。
HP Servers EMEA(欧州、中東、アフリカ地域)のバイスプレジデント兼ゼネラルマネージャーのIain Stephen氏は、欧州では、こうしたTier1企業におけるサーバ需要が毎年60%以上拡大しており、主にODMがその需要を満たしていると述べた。
「われわれにとって問題だったのは、当社がこうした製品(最新の「HP ProLiant DL」サーバ群を指している)で勝負しようとしていたのに対して、Tier1企業は、自ら設計し、台湾から調達した製品を利用していることだ。これらの製品の価格は比べものにならない」(Stephen氏)
そうした大手サービスプロバイダーのニーズをより効果的に満たすサーバを作るため、HPは先頃、コンピュータメーカーのFoxconn(鴻海精密工業)とジョイントベンチャーを立ち上げて、これらの顧客の需要を満たす低価格ボックスを製造すると発表した。
HP Servers EMEAの「BladeSystem」およびインフラストラクチャソフトウェア担当マネージャーであるRhys Austin氏は、「(この市場に製品を提供することは)ますます重要になっている。同市場は拡大しており、われわれはそこに参入したいと考えているが、現時点で当社が提供している標準的な製品群では、それは不可能だ」と述べた。
Stephen氏によると、Tier1プロバイダーに販売するボックスの利幅は、エンタープライズに販売するボックスとは異なるかもしれないが、それでもこれらの企業にさまざまなサービスを販売する機会は存在するという。
「一度に1万5000台のサーバを展開するのは容易ではない。したがって、彼らは統合や資産のタグ付け、ケーブルのテストに関連するサービスを実際にたくさん購入する。彼らの組織には管理者や実際に設置作業をする人材が無限にいるわけではないので、こうしたサービスで実際に利益を獲得し、差別化できる可能性がある」(同氏)