--社内SNSを活発にするために工夫していることは。
ルールや規制をまったく設けないことです。情報のシェアを自由にできる環境を提供しています。やりたいことをやりたいようにシェアできる環境を推奨するために、透明性のあるコミュニケーション環境を意識しています。「こういうことをポストしてはいけないのではないだろうか」という恐怖感を感じることがないようしています。また、良くないことをポストしてしまってもペナルティはありません。
現在もルールを作る必要性は感じていません。Yammerの中では趣味で犬や猫のコミュニティも作られていて、カジュアルなコミュニケーションができる環境です。
社内でのコミュニケーションが活発になればそれだけナレッジも溜まりやすくなり、それがカスタマーサービスという形だけでなく、実際に営業、利益をあげることにもつながり、ビジネスを強くすることにもなるのです。
カスタマーサービスはデータドリブンに
--起業家として人口減社会の日本で企業が発展するためには何が必要だと思うか。
カスタマーサービスという仕事は、従来はまったくセクシーでもカッコよくもありませんでした。そういった業界でも、私たちにとっては時期が適していて、産業を変えるような製品を作り上げることができました。伝統的にはセクシーではないことでも、目の付け所を変えることで、一夜で大きく変革できる可能性があります。

インタビュー中、終始笑顔で気さくな人柄を感じさせた
BoxやDropboxといった会社も、ファイル共有というだけではカッコよくありません。Amazonも最初はただの本屋でした。それがEコマース界を変えるような会社になりました。そのように、はじめはカッコよくないと思われるようなことでも、目の付け所の違いから簡単で便利といったところからビジネスを成長できるきっかけになります。そういった目の付け所がカギなのではないかと思います。
--今後、5年の展望は。
組織が考えるカスタマーサービスを変えていきたいと考えています。カスタマーサービスを通じて、顧客との会話そのものを通じて、それをヘルプすることで、よりよい最適な企業の選択を手助けできるようなカスタマーサービスの基盤にしていきたい。それが営業であろうがマーケティングであろうが、組織の中のどの部署であってもカスタマーサービスの情報をデータドリブンな考え方でアクションにつなげる。そういうことができるようなトレンドをカスタマーサービスのパターンとして作っていきたいと思います。
マーケティングのオートメーション化が進んでいますが、今だにメールでのコミュニケーションを自動化することが中心です。それが5年後にはもっと進み、データを基にデータドリブンで、プロアクティブなリーチやコミュニケーションにつなげられるようになるでしょう。ウェブサイトのコンテンツも顧客ごとにカスタマイズ、パーソナライズされるような、経験そのものを向上させられるような手助けをする。それがマーケティングオートメーションの進化した形だと思います。カスタマーサービス自体がマーケティングツールにますます近づいていくでしょう。