ヘルスケア業界ではIT関連の職が2020年までに21%増加するという、シカゴ大学の調査結果がある。ヘルスケア業界の全分野で、健康情報学、モバイル技術、クラウドシステム、デジタル診断技術の創造的で思慮深い利用法が求められている。
これらの新たな発明の多くは、米国ではまだ食品医薬品局の承認を待っている段階であり、このプロセスには最大10年はかかる可能性がある。しかし、それでも新たなテクノロジの研究開発は止まらない。この記事では、ヘルスケアの形を変えつつある10種類のテクノロジを紹介する。
1.デジタル診断
ヘルスケアをより手が届きやすいものにする方法の1つに、必要な人(特に診療所に行けない人)がデジタル診断を受けられるようにするというやり方がある。これは、デジタルヘルスケアの大きなテーマの1つだ。ソフトウェアを用いたアルツハイマー病の診断テストであるNeurotrackは、デジタル診断の一例だ。このテストは、眼球の動きを評価することで、(この病気で真っ先に影響を受ける脳の部位である)海馬の損傷を検知する。
2.クラウド
Skyhigh Networksが最近行った調査によれば、ヘルスケア関係のクラウドサービスの13%以上がセキュリティ侵害の面で高リスクであり、77%が中程度のリスクだと考えられるという。クラウドサービスは医療サービスプロバイダーにとって多くの利点があり、特に低開発地域やへき地では恩恵が大きいが、そこにはリスクがある。この調査では、ヘルスケア分野のサービスプロバイダーで利用されているクラウドサービスは944あり、従業員の53%は業務で3つ以上のデバイスを使用していることが明らかになった。
3.超高速スキャン
GEは2014年、心拍1回以内に静止画像を捉えることができる、同社による超高速CTスキャナーのブレークスルーを発表した。同社は、研究によれば、脈拍が毎分60回を超え、スキャンするには脈拍が速すぎるためにCTスキャンを受けることができない患者が約60%いると述べている。この「Revolution CT」を使えば、医者はこれまで見ることができなかった心臓の部位を見られるようになる。
4.ウェアラブル
ウェアラブル技術は、今後ヘルスケアの分野では大きな役割を果たすようになる。全米家電協会の報告によれば、2014年のフィットネストラッカーとスマートウォッチの売り上げは10億ドルに達する見込みだ。しかし、フィットネス情報のモニタリングは始まりに過ぎない。たとえば、Intelはマイケル・J・フォックス財団と提携し、パーキンソン病の特徴を発見するのにウェアラブルを利用しようとしている。
5.健康情報学
最近のミシガン大学の調査によれば、米国の病院の半数以上が、何らかの種類の電子カルテシステムを使用しているが、米連邦政府のすべての指令に合致しているのはわずか6%に過ぎないという。シカゴ大学の研究者によれば、ヘルスケア関連の経費の50%は、非効率な記録維持プロセスに浪費されている。電子カルテを利用することで、大病院では3700万~5900万ドルの経費が削減されているという。電子カルテは医療プロセスを合理化し、医療過誤を減らし、医療サービスプロバイダー間の協力を促進する。米連邦政府は2014年、電子カルテシステムの設置を義務化した。