明治グループで、牛乳や乳製品などの卸売を行う明治フレッシュネットワークは、中核システムである販売データ分析、倉庫管理システム(WMS)、基幹(販売物流・請求管理など)の各業務システムの基盤を、オンプレミスからクラウドへと段階的に移行する。クラウド基盤サービスを提供するNECが10月20日に発表した。
新たな基盤として採用されたのは、NECがサーバやストレージなどのICT資源をサービスとして提供する「NEC Cloud IaaS」。コストを抑えた「NEC Cloud IaaS (スタンダード:STD)」と、信頼性を強化した「NEC Cloud IaaS (ハイアベイラビリティ:HA)」の2種類があり、今回はNEC Cloud IaaS (HA)を選んだ。
傘下の販売会社8社との合併に伴い、2013年4月に自社システムを単独で運用していくことになり、少人数での効率的、低コストなシステム運用が必要となっていた。また、今後の事業変化に備えて柔軟にシステムを変更できる基盤が求められていた。
プロジェクトでは、既存の機能を支える性能と可用性を保ちながら、システム機能の統合などによりサーバの集約、共有化を進め、移行費用の削減やサーバ台数の半減を目指す。第一弾として、販売データ分析システムを10月に稼働開始する。
今後、2014年度中にWMS、2015年度中に基幹システムの基盤を順次移行する予定。この移行により、オンプレミスと比較して導入・運用コストを約2割削減するとともに、サーバリソースの使用量を必要に応じて増減可能なCloud IaaSにより事業変化伴いデータの処理件数や保存容量などが増加した際も、柔軟なシステム拡張を実現できるようになるという。
明治フレッシュネットワーク 導入事例概要図(NEC提供)
今回の移行に合わせて、販売データの分析ツールを「InfoFrame Dr.Sum EA」に統合。例えば、全国単位の販売データの分析を、従来と比較して十分の一以下の時間で実現するなど、数億件規模の大量の販売データを、商品・地域・販売先別などさまざまな観点で高速に分析でき、明治フレッシュネットワークの営業担当者を中心とする約1000人の作業を大幅に効率化する。
なお、クラウド基盤サービスの提供から移行に伴うアプリケーションの改修など、システム全般については、NECが全体にサポート。各業務システムの移行作業を並行して推進することで約1年半での移行を計画し、既存システムと新システムの並行運用期間を短縮し、システム維持コストの低減を図る。