アドテクノロジー講座

今さら聞けないSSPの仕組みと日本における過去と未来 - (page 3)

工藤智昭(ジーニー)

2014-12-19 07:30

2011~2013年前半 SSPの成り立ちと日本市場での成り立ち

 日本においては、北米のRTB市場の立ち上がりを各社が参考にして展開した事で、日本独自の市場の立ち上がり方がありました。

 1つ目の違いですが、北米の先進例を参考にした事で日本市場ではPCに関しては当初はアドネットワークの事業者が増加しきる前に、RTBによるDSPとのオークションのフェーズがいきなり始まる事になりました。一方でスマートフォンに関しては、ターゲティングの制約の問題からアドネットワークが大量に現れたため、アドネットワークをイールドする ステップを最初に踏む事になりました。PCとスマートフォンでは媒体社がSSPに求める事が明確に違いました。

 2つ目の違いですが、日本の広告主はダイレクトレスポンス系の広告主が多かったので、メディアの在庫の中でターゲティングの在庫を中心に買われるようになりました。立ち上がりの初期のころは、SSPごとに接続されている入札事業者が大きく異なっていたため、媒体社は複数社のSSPを併用して使う事で収益が最大化される状況が生まれました。

 合わせて、事前掲載可否の確認という日本の独自の慣習と合わせて、媒体社の負荷が増大してしまいました。これらの問題に対し、SSP各社はさまざまな機能を追加していくことで対応を図り、現在ではジーニーを含む一部のSSPは解消しつつあります。

 北米市場の試行錯誤の結果を参考にしたことにより、他にも多数の差異があります。このように同じSSPでも北米と日本では違ったステップで違った進化を遂げていっています。2回目では最新の日本の事例についてお話いたします。

工藤智昭
ジーニー創業者 代表取締役
2006年にリクルートへ入社し事業開発室へ配属。アドネットワーク事業を起案・推進し、全社イノベーション賞などの賞を受賞。 2010年に媒体社向けの収益最大化プラットフォーム(SSP)の事業を行う株式会社ジーニーを創業し代表取締役に就任。日本及び東南アジアにて事業展開し、デロイト トウシュ トーマツ主催のベンチャーの成長ランキングFAST 50にて日本4位、アジア16位の成長率を実現。Geniee SSPは日本のマーケットリーダーへ。2014年10月には、ソフトバンクモバイルと業務提携した。

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