オークションの価格について
オークションの価格決定は、通常セカンドプライスオークションを採用しています。セカンドプライスオークションとは、最終的に最も高い価格を入札した買い手に広告枠を販売するのですが、実際の支払いとしては2番目に高い価格を請求します。セカンドプライスオークションは理論上、入札事業者が入札単価を自社にとっての最適な価格を提示し続けることが最適な入札戦略となります。
また、通常のSSPは「フロアプライス」という機能を持っています。媒体社は広告枠の最低入札価格を設定でき、それ以下の価格で落札されてしまう事を防ぐための機能です。媒体社が設定したフロアプライスもオークションの参加者とみなされ、落札者が1事業者しかいない時は、セカンドプライスオークションはフロアプライスの金額が採用され広告配信が行われます。フロアプライス以下の入札事業者しかいない場合は、自社広告などの広告を表示できます。
現状、落札者が1事業者しかないケースもまだまだ多いため、「どのようにフロアプライスを設定すれば最も媒体社の収益が最大化されるか」を検討するのも重要なテーマになってきます。そのため、SSPはフロアプライスの予測ロジックを持ち、媒体社に最適なフロアプライスを提示します。
2010年以前 北米でのSSP事業者の成り立ち
北米では当初はDSPというもの自体が世の中にありませんでした。広告主が純広告以外に出稿するのは、アドネットワークと呼ばれる同様のジャンルのサイトを集めたカテゴリ配信のようなものが主流でした。しかし、そうしたサイトや広告枠の種類よりも、ユーザーの属性に着目した広告配信の方が広告効果が高い事に気付き、広告主の予算は枠買い、バルク買いからオーディエンスターゲティングに予算が徐々にシフトしていきました。
そうした中でアドネットワークだけでも100社以上が生まれてきました。そのため媒体社は既にどのアドネットワークを使うのが自社にとって最適なのかが解りませんでした。そのような必要性からアドネットワークのイールドマネジメントのみを行うSSPの原型のようなものが生まれました。
ちょうどそのころに、リーマンショックが起き、金融系のエンジニアがウォール街からシリコンバレーに移ったことで、金融取引を参考にRTB(Real Time Bidding)という広告枠の売買の方式が発明され、現在のDSPとSSPに進化していきました。RTBにより、広告主は自社保有のデータや透明性の高い第三者データを活用して、適切なターゲットにマーケティング活動ができるようになりました。そのため旧来型の広告手法に疑問を持っていた広告主の予算がRTB市場にシフトしていきました。