2013年後半以降は、基礎的なRTBの実装を各社が終えて、新機能開発の競争がより一層激しくなっていきます。開発力のあるSSPは収益向上のための基本的な機能を充実させながらも、周辺領域のための機能拡張を続けています。その中でいくつかの例を挙げましょう。
海外DSPとの接続による案件数の増加
2013年からGoogleのbidmanager、MediaMath、Turnなど、日本市場へ海外DSPの参入が相次ぎました。そのため海外事業部門があるSSPは、海外DSPと接続しました。海外DSPとの接続は日本の広告主案件だけでなくボーダレスの案件を日本のメディアにもたらしました。
例えば、シンガポールにはAPACのマーケティングのヘッドクオーターがあることが多く、グローバルのトップブランドは、シンガポールから日本のメディアへ入札をしてくるケースも多くあります。
海外DSPとの接続は、言語の問題、契約の問題、サーバのレイテンシ問題、お互いの開発のマイルストーンの調整、ドル/円の為替問題、クリエイティブ審査の問題、メディアのカテゴリ認識の違い、商習慣の違いなどたくさんの問題を乗り越えないといけません。ジーニーでも当初は相当苦労し、海外DSPとの接続に3カ月はかかりましたが、今では1人のエンジニアでも大量に同時並行で接続開発が可能になりました。
クリエイティブ審査の問題は特に難しく、審査の甘い海外DSPはマルウェアを日本へ配布してしまっているものもあるため、それによる被害を受けたメディアもありました。ジーニーでも、機械による自動審査と、人手による審査を組み合わせたフローを構築し、そういった課題を克服しています。
スマートフォンのトラッキングテクノロジの対応による単価の向上
PCのディスプレイ広告では、広告主はCookieというブラウザの標準搭載の技術を活用し広告効果を測定しています。正しい広告効果を測定することで、新しいメディアにもマーケティング予算を増やすことができます。
スマートフォンについてはサードパーティCookieが活用できないiPhoneのブラウザやアプリなど、トラッキングが難しい環境がしばらく続きました。2014年にはGoogle(Android)、Apple(iOS)が広告トラッキングの技術をサポートし、トラッキングIDをリリースすることでそれらに対応していきました。
また現在ではマルチデバイスのトラッキングについても、上位事業者は対応を進めています。例えばユーザーがPCで検索をして、スマートフォンを見ている場合などを補足し、ターゲティング配信ができるようなっています。