マイクロソフトがLinuxを「大好き」になった理由とは?

Steven J. Vaughan-Nichols (Special to ZDNET.com) 翻訳校正: 川村インターナショナル

2014-11-06 06:00

 世の中には、相性の良くないものが存在する。ネコとイヌ、ニューヨーク・ヤンキースのファンとボストン・レッドソックスのファン、「Linux」と「Windows」がそうだ。いや、本当にそうだろうか。サンフランシスコで、Microsoftの最高経営責任者(CEO)のSatya Nadella氏が発した言葉を引用すると、「MicrosoftはLinuxが大好き」なのである。

 驚いた。

 Steve Ballmer氏が2001年に、「Linuxはガンだ」とおおっぴらに発言してから、ここまで非常に長い道のりだった。Ballmer氏の発言以来、Microsoftは確かに、Linuxが本当にガンであるかのように攻撃を続けてきた。SCOによるLinuxを相手取った著作権争いを支援したりLinuxはMicrosoftの不特定の特許を侵害していると主張したり、際限のないFUD攻撃(編集部注:競合製品に対する不安、不確実性、疑念をあおるマーケティング戦術)を行ったり、ありとあらゆることをしてきた。

 では、LinuxがMicrosoftの最大の敵から「大好き」と言われるようになるまで、何があったのだろうか。

 Nadella氏はわれわれに対して話の核心を実際に語ってくれた。クラシック探偵映画の台詞を借りて要約すると、「金を追え」ということだ。

 Nadella氏はWiredに、かつての争いを続けることに興味はないと語った。ことのほか、(好むと好まざるとに関わらず)Linuxが現在のビジネステクノロジに不可欠な部分になっている時期に、だ。「新しいものに飛びつかなければ、生き残れない」(Nadella氏)

 Linuxは新しいものではない。登場してから23年経つが、人間ならば飲酒してもかまわない年齢だ。しかし新しいことが2つある。1つは、Microsoftの運命は今や、デスクトップやデスクトップソフトウェアではなく、同社のクラウドサービス「Azure」や、「Office 365」のようなクラウドベースのプログラムにかかっているということだ。2つ目は、Linuxが、Azureクラウド上でも大小の企業によって使われているということである。

 実際、Nadella氏は、Azureで使われているOSの20%がLinuxであることを認めている。オープンソースOSであるLinuxは既に、Microsoftの業績に大きく貢献している。現在Azureは、ビジネス向けLinuxではトップの「Red Hat Enterprise Linux(RHEL)」はサポートしていないものの、既に「CoreOS」「CentOS」「Oracle Linux」「SUSE」「Ubuntu」をサポートしている。

 同時にMicrosoftは、Azureだけが、純粋なプロプライエタリクラウドであることを強く認識している。「Amazon Web Services」「Google Compute」「OpenStack」などのAzureの競合サービスは全てLinux上で稼働しており、Linuxサーバサービスを提供している。Microsoftが、「Windowsを取るか、他を取るか」という姿勢にこだわれば、Microsoftに勝ち目はないだろう。

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