NECとNECフィールディングは、データを分析するための「異種混合学習」技術を活用して、NECフィールディングが保有する補修用部品の需要を予測する実証実験を実施。高精度な予測を実現、出荷頻度が高い部品の在庫を約2割削減できることを確認した。11月12日に発表した。
異種混合学習技術は、NECの中央研究所が開発した、対象となるデータの中に混在するデータ同士の関連性から多数の規則性を自動で発見し、分析するデータに応じて参照する規則を自動で切り替える技術。
単一の規則性のみを発見し参照する、従来の機械学習では分析が困難な、状況に応じて規則性が変化するデータでも高精度な予測や異常検出が可能という。商品の自動発注システム、ビルや船舶のエネルギー需要予測などに活用されている。
補修用部品需要予測ソリューション全体像(NEC提供)
両社は、NECフィールディングが保有する出荷頻度が高い補修用部品を対象に、異種混合学習技術を活用して需要を予測する実験を実施した。実験では、過去14カ月間の月ごとの部品の出荷数や稼働台数、発売時からの経過月数などのデータをもとに将来の部品の需要量を予測した。
その結果、高精度に予測できるとともに、予測に基づき在庫量を最適化することで、活用しない場合と比較して、出荷頻度の高い補修用部品の在庫を約2割削減できることを確認したという。
実験結果を踏まえ、NECフィールディングでは2014年度下期から実業務で今回の需要予測に基づいた在庫管理を開始する。NECでは今回の取り組みに基づいた補修用部品需要予測システムを製品化し、2015年度から製造業向けに販売する。
部品の生産終了に保守停止までの必要購入数を予測する、EOL(End Of Life)品の需要予測の実証実験を実施するなど部品の在庫削減も目指す。他社メーカーの保守業務の受託サービスでも今回の技術を活用し、サービス事業の拡大を推進していく。
NECフィールディングは、コンピュータやネットワーク機器の保守サービスを手掛けており、約14万品目の補修用部品の在庫を保有している。このうち、プリンタ駆動系部品やHDDなど年に十数個以上出荷される出荷頻度が高い、約1万品目の部品については、在庫切れ防止のため一定量の保有が必要だという。
過剰在庫に陥るリスクもあり、適正な在庫を確保するために、将来の部品需要を高精度に予測することが重要となっている。今回の実験結果に基づく実業務での需要予測では、一般的な補修用部品の発注から納品までのリードタイムである4カ月先を予測する。