GEとアクセンチュアは10月8日、「インダストリアルインターネットインサイト2015(Industrial Internet Insights for 2015)」調査結果を発表した。GEはインダストリアルインターネットを「産業機器とビッグデータと人々を結びつけるオープンでグローバルなネットワーク」と定義している。
インダストリアルインターネット戦略を推進する上での課題はビッグデータ分析であるとしているが、今回の調査対象となった企業経営幹部の中で、予測分析や自社ビジネス最適化のために全社横断的にビッグデータを活用していると回答したのは全体のわずか3分の1以下の29%にとどまっている。
調査は、インダストリアルインターネットを推進していくためにはデータアナリティクスが欠かせないという課題認識のもと、ビッグデータ活用の現状を把握するためアクセンチュアとGEが共同で実施した。
対象となったのは、中国、フランス、ドイツ、インド、南アフリカ、イギリス、米国における、航空事業、風力発電事業、発電事業、送配電事業、石油ガス事業、鉄道事業、製造業、鉱山事業などの企業の経営幹部250人。いずれも売上規模は1億5000万ドル以上、半数以上は10億ドル以上で、回答者の半数以上は企業のCレベル幹部(CEO、CFO、COO、CIO、CTO)、他にはIT部門やファイナンス部門、オペレーション部門における執行役員や部門長レベルの役職者も含まれる。
企業の経営幹部の65%は「機器の稼働状況をモニタすることで機器の障害を早期に発見し、予防保守を行えるようにビッグデータ分析を行っている」と回答した。また62%の回答者は「風力発電ファームや石油パイプラインのような遠隔地におけるデータを収集するためのネットワーク技術をすでに導入・採用している」と答えている。
ビッグデータ分析に対する認識をみると、経営幹部の66%は、「インダストリアルインターネット戦略を推進するためにビッグデータを活用しなかった場合、今後1年から3年以内に現在の市場ポジションを失うことになる」と回答。また、93%は、「ビッグデータを活用することで自社を差別化している企業がすでに市場に新規参入している」と答え、88%の回答者は「ビッグデータ活用が自社にとっての最優先事項である」としている。
また、本調査における回答者のほぼ半数に当たる49%が、「自社のビッグデータ戦略に基づき、新たな収益源となる新規事業を創出する計画がある」と回答し、60%は「自社の経営資源を最適に管理するための情報活用を強化することで収益性を向上させたい」、という意向をもっていることが明らかになった。
しかし、ビッグデータ戦略の実践には課題も残る。回答者の3分の1以上の36%は「部門間においてシステムの障壁が存在することがデータ収集分析の妨げになっている」と回答した。また、29%は「異なるデータを統合していくことやデータリポジトリを利用することは困難である」と考えている。さらに、44%の回答者は「サイバー攻撃や情報漏えいを防ぐためにはシステムを横断したエンドツーエンドのセキュリティソリューションが必要である」と答えている。
業種や業界によって異なる結果が出た部分もある。主なものは以下の通り。
・ビッグデータ分析の優先度について
航空会社の経営幹部(61%)にとってビッグデータ分析の優先度は特に高く、その他の業界の企業平均を大きく上回る結果となった(エネルギー供給事業者:28%、発電事業者:31%、ガス・石油企業:31%、鉱山企業:24%)。
・ビッグデータ分析能力について
鉄道(40%)と発電事業(38%)を営む企業は、「予測や最適化を含めた自社のビッグデータ分析能力はすでに高度なレベルに到達している」と回答した。
・ビッグデータ活用の計画について
風力発電事業者(61%)は「新たな収益源となる事業を創出するため、ビッグデータを活用していく計画がある」と回答した。また、鉄道会社(73%)は「機器の稼働状況を把握するためにビッグデータを活用し、保守作業を改善していく計画がある」と答えている。さらに、鉱山企業(71%)では、「ビッグデータ分析によって、経営資産管理を強化し、収益性を向上させていきたい」という意向を持っていることも明らかになった。