衰退論を覆す、オラクルが手に入れた「MySQL」の今 - (page 2)

Toby Wolpe (ZDNet UK) 翻訳校正: 石橋啓一郎

2014-11-28 06:30

 「多くの人材が去っていったし、彼らはOracleに敵意を持っていた。『奴らは悪者であり、敵だ。MySQLを手に入れた奴らは、何をするだろう?競争せずにすむように、死に体にするに違いない』だが、これはゆがんだ考え方だ。Oracleの人たちに対しては、いろんな言い方ができるが、少なくとも彼らは愚かではない。

 「Oracleは、オープンソースリレーショナルデータベースのトップには、PostgreSQLやそのほかのDBではなく、MySQLになってほしいと思うはずはずだ」(Zaitsev氏)

 また、この10年間の間に、オープンソースコミュニティーの内外の両方で、オープンソースに対する態度は大きく変わった。

 「以前は、オープンソースは非常に反体制的な陣営だった。そして、その市場は比較的小さかった。オープンソースソフトウェアを手がけることは、Windowsとは違って、クールなことだった。これは、少数のクールな人だけがやっていたことだからだ。しかし、今はずっと一般的なことになってきており、誰もがやっている」とZaitsev氏は言う。

 今では多くの人が、特定のソフトウェアがオープンソースかどうかということよりも、目的を低コストで達成できるかどうかを気にかけている。

 実際、一部の企業がオープンソースに対してプラスの評価を下しているのは、特にクラウドの文脈で、ベンダーロックインが生じないからだ。

 「セキュリティの観点から言えば、ライセンス上のロックインが生じないことは重要だ。しかし同時に、クラウドでは、ほかの種類のベンダーロックインが存在する。たとえば、ある企業がMySQLを使っているとしても、Amazonのクラウドを使用していれば、現実的にはそのAPIのために、特定のベンダーにロックインされてしまう」とZaitsev氏は言う。

 Zaitsev氏によれば、MySQLの歴史は長く、品質も高いが、それでも場所情報などの特定の分野では、NoSQLの方が向いているという。

 「現在では、多くのアプリケーションが位置を意識した作りになっている。多くのアプリケーションがモバイル的要素を持ち、位置情報を利用しているが、率直に言って、MySQLは以前から位置情報の取り扱いをあまり得意としていない。位置情報の取り扱いが組み込まれ、高い性能で処理できるのは、現在開発中のMySQL 5.7からだ。これについては、MongoDBの方がはるかに高速に処理できる」と同氏は言う。

 ただし、Zaitsev氏は、MongoDBのスキーマレスイテレーションと規模性の間にはトレードオフが存在すると話す。

 「スキーマがないというのは、非常に大きな売りであり、特にモバイルアプリケーションを始めようとする開発者にとっては魅力的だ。しかし、運用スタッフにとっては困難をもたらす場合もある」(Zaitsev氏)

 「しかしスキーマがないということは、十代の息子に自分の部屋の整理を任せるようなものだ。何もかもを、部屋の真ん中に山にして置いておこうとする。これは、整理をしなくてすむので楽だが、規模が大きくなるとうまくいかない。数週間もそれを続けると、何もものを見つけられなくなる」とZaitsev氏は話す。

 開発者にとっての新しいデータベース技術の魅力は、後でそれを運用するスタッフに予期できない問題をもたらす場合があるわけだ。

 「これは、新しいテクノロジにありがちな傾向だ。開発チームは、『今回はこのクールな新しい技術を使って作った』と言う。しかし、それを長期的に維持する運用チームから見ると、開発者が思いつかなかった問題が含まれている場合がある」(Zaitsev氏)

 「現在のところ、どういう場面にどのテクノロジがもっとも適しているかは、まだ明確にわかっているわけではない」(Zaitsev氏)

この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。

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