IoTプラットフォームをめぐるサプライヤー進化
モノのインターネット(Internet of Things:IoT)”の用途は、これまで人件費削減や業務プロセス合理化を実施するといったものに限られてきた。一方、アナリティクス分野における技術の高度化やコストの低減により、顧客分析やマーケティングなど顧客のサービス価値を向上させる事例を増やすことが必須になってきているという。
ユーザー企業のグローバル化にあわせて、IoTの領域で製品やサービスを提供するベンダーは、世界中どの地域であっても既存の国内サービスを含めた一元的なサービス提供をするための体制作りが求められているとした。
こうした背景から国内市場ではIoTの「利用業種の拡大」「利用用途の拡大」「利用地域の拡大」といったことを目的とし、さまざまなプラットフォームが台頭してきており、そうしたプラットフォームを活用したベンダー間の競合状況は2015年に激化すると考えられるとした。
「IoTでのスモールスタートに適したアプリケーションを開発するプラットフォームとしてThingWorxなどが出てきている。5年以内に全産業がIoTに取り組み、IoTが成長要因となる」(中村氏)
IoTの領域に進出するベンダーは、データを集中的に処理するクラウドだけでなく、データを収集するためのセンサやゲートウェイなどの「エッジ側でも分散処理する技術に着目すべき」としている。
データを処理しているのはインフラが6割、エッジ側が4割ほどであり、インフラ部分の利用しか考えていないITベンダーは6割のデータしかとれないため、エッジ側にもビジネスチャンスがあるとした。
企業内ITユーザー部門が主導する投資プロジェクトの増加
IDCが4月に実施した「国内CIO調査」の結果によると、正社員数100人以上の中堅大手企業の36.0%が「情報システム部門が策定/執行に関与しないIT予算がある」と回答したという。ITを使う側である営業やマーケティングなどの事業部門が、独自にIT投資をしているということだ。
これらの企業の約3割が、IT部門が関与しないIT予算は今後増えるとみている。IT部門が関与するIT予算、IT投資プロジェクトでも、事業部門が積極的に関わり、主導するケースがますます増えるとした。
第3のプラットフォームがもたらす“ITのサービス化”、事業部門でのITリテラシーの向上は、事業部門独自のIT投資、IT利用のハードルを下げており、さらに事業部門のIT投資プロジェクト主導の流れを加速させているとした。