IDCは、クラウドコンピューティングの普及とデータセンターの大きな変化が引き金となって、「2015年には、トップクラスのITベンダーの間で2、3件の大規模な合併や買収、再編が起こる」と予測している。
IDCによる2015年の予測は、それほど驚くものでもない。アナリストのFrank Gens氏は、米国時間12月2日に開催されたウェブカンファレンスで、クラウドやモバイル、ビックデータおよびアナリティクスについて多くの内容を話している。より興味深いのは、予測された出来事によってもたらされるベンダーへの影響だ。IDCによる注目すべき予測には、次のような内容が含まれている。
- 中国は、情報通信技術への支出で存在感を高め、Alibaba(阿里巴巴)やTencent(騰訊)といった企業がグローバルプレーヤーになるだろう。その一方で、中国のベンダーはモバイル分野でのシェアを拡大し、世界のスマートフォン市場の3分の1を占めるようになる。スマートフォンとタブレットの売上高は、全てのIT支出増加の40%を占めるだろう。
- ウェアラブル製品には多くのイノベーションが登場するが、売上高では期待を裏切る結果となる。
- クラウドサービスの採用が急増し、2015年の支出額は1180億ドルになる。しかしAmazonはあらゆる方向から攻撃を受けることになる。
- 「Data as a Service」が、ビッグデータ支出において不可欠な存在となり、予測メンテナンスのアプリケーションが「モノのインターネット」の支出を促進する。
- ワークロードがクラウドに移行するにつれて、データセンターは変容する。
実際のところ、業界には変化し続けている要素が複数あり、IDCの予測は、曖昧だが的確といえる程度に具体性がある、難しいものだ。しかし、より注目すべき点は、こうした出来事がベンダーやその顧客にどのように影響するかということだ。
IDCは、合併する可能性のあるベンダーの名前は挙げていないが、業界の大変動についてのIDCの予測はおそらく当たっているだろう。どのみち、IT企業の大規模な合併や再編は毎年数件あるのが普通だ。ここでは、IDCからバトンを引き継いで、2015年のベンダーについての考えをいくつかまとめた。
- Hewlett-Packard(HP)の分社化を受けて、EMCとHPのエンタープライスビジネスが合併する。EMCとHPの合併についての報道は2014年に既に浮上しているが、両社は規模が大きすぎてそれを成功させられなかった。HPが2社に分社したことで、より身軽になると同時に、企業としてより良い選択肢を用意できるようになった。EMCとHPの合併というのは納得できる話だ。
- Oracleの買収戦略がつまずき、結果として再編が進む。Oracleは近年、クラウドサービス企業を熱心に買収してきたが、そうした買収企業の顧客を維持できるかどうかは不明だ。ウォール街が同社の経営体制に疑問を抱き始めている中で、さらに新たな世界規模の買収を行えば、Oracleは再編と改革を余儀なくされるだろう。SAPは本業での成長に注力するために大規模な買収を見送っており、Oracleへの注目が高まる。
- AmazonはAmazon Web Services(AWS)をスピンオフする。AWSは2015年もIT業界の注目の的だが、競争は一気に激化するだろう。ウォール街からの圧力を受けて、Jeff Bezos氏はAWSを独立した企業としてスピンオフさせる。このスピンオフは、EMCとVMwareの間の提携に似たものになるが、AWSは、クラウド戦争に全面突入するための財源と資本ベースを確保するだろう。
- Red HatがClouderaを買収する。Red Hatは、アナリティクス分野における自社の地位を固める取り組みの一環として、Clouderaを買収する。社風の面では、この2社のオープンソース企業はうまくかみ合うだろう。戦術の観点から言えば、Red Hatによる買収は、OracleやIBMといった数多くの利害関係者と距離を置く働きをする。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。