筆者が創業したITリサーチ会社Kusnetzky Groupでは、アナリストらが2014年を通じ、200を超えるサプライヤーやその顧客の担当者と直に接してきた。そういったなかで得られた知見を以下に紹介したい。
仮想化
仮想化とは、仮想マシンソフトウェアを使用してより迅速に、そして潜在的に信頼性の高い環境を作り出すためのシステムのカプセル化手段というだけの話ではない。業界標準となっている(すなわちx86ベースの)システム市場もそのことをようやく理解し始めている。仮想アクセスや、アプリケーションの仮想化、仮想化環境におけるセキュリティ、仮想化環境の管理のほか、プロセスの仮想化やストレージの仮想化、ネットワークの仮想化といったさまざまな形態のものを含む仮想化環境をいかに構築するかに目を向け始める顧客がかなりの数にのぼってきている。
仮想化の各分野における興味深い多数のサプライヤーに話を聞いたところ、彼らの顧客はこうした仮想化環境の構築によって恩恵を被っているようだ。
これらサプライヤーの相当数は、こうした環境の制御部分を切り離し、(APIを介することで)プログラム可能な制御機能を実現するという次の段階に進んでいる。そのマーケティング上のうたい文句は、「ソフトウェア定義環境」というものだ。
2015年には、より多くの企業が仮想化環境の単なるサポートから、ソフトウェア定義環境の構築に進んでいくと考えられる。
クラウドコンピューティング
この業界は、クラウドコンピューティングフレームワークをめぐる白熱した戦いの真っ只中にある。「Amazon Web Services」(AWS)や、VMwareの「vCloud Suite」「OpenStack」「CloudStack」といった競合が顧客獲得にしのぎをけずり、自らのサービスの優位性を誇示しようと努力し続けている。
今後の方向性としては、ある環境から別の環境にワークロードを移行できるようにしたり、ローカル環境での実行を可能にするためのプラットフォームをまたがる規格の策定に向けた取り組みにより、ソフトウェアのロックインをなくすとともに、「コンピューティングのアイランド(島)」ができてしまうという流れを抑制できるようになるだろう。
モバイル
企業向けアプリケーションを、従来のノートPCやデスクトップPCからだけでなく、スマートフォンやタブレットからも利用できるようにしようと努力している数々のサプライヤーにも話を聞いた。
対象デバイスにもよるが、こういったベンダーらは以下のアプローチを組み合わせながら取り組んでいる。