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正念場を迎える米ヤフーCEOメイヤーの内憂外患--委任争奪戦勃発の気配

三国大洋

2014-12-24 06:30

 2012年7月に鳴り物入りで米Yahoo!の最高経営責任者(CEO)に招聘されたMarissa Mayerが、経営責任者としてだいぶ厳しい立場に置かれているようだ。そうした感じが伝わってくる2つの記事を読んだ。

 ひとつはNYTimes Magazineの記事で主にYahoo!社内の実状が描かれたもの。もうひとつは同社に狙いを定めたStarboad Valueというアクティビストシェアホルダー(物言う投資家、ヘッジファンド)についてのFortuneの12月3日付の記事である。

 MayerはGoogle創業当初からのメンバーの1人で、またシリコンバレーでは比較的少数派の女性エンジニアとして頭角を現した経営幹部であること、Googleの共同創業者2人とは対照的に積極的に公の場で話をしたり、あるいは有名ファッションブランドOscar de la Rentaのドレスを身にまとってVogue誌に登場したりしたことなどもあって、Google時代から何かと目立つ存在であった。

 そのため、Googleを代表する顔の1人だったMayerがYahoo!のCEOに引き抜かれた時には、随分と大きな話題になっていたという覚えがある(MayerがGoogle CEOに復帰したLarry Pageの側近チームから外されたこともYahoo!への移籍を決断した理由のひとつ、といった事情もその後報じられていた)。

 NYTimesに12月17日に掲載された記事は、1月初めに刊行される 『Marissa Mayer and the Fight to Save Yahoo!』という書籍からの抜粋(著者のNicholas Carlsonは、Amazon.comのCEOであるJeff Bezosなどが出資するニュースサイトBusiness Insiderのチーフコレスポンデント)。この記事には、大きな注目と期待の集まる中でCEOに就任したMayerが、その後2年あまりの間にこれといった成果を挙げられなかったばかりか、かえって経営再建の進捗を後退させるような過ちをいくつも犯したといったといった話がつぶさに描かれている。

 その過ちの内容も実にさまざまだ。

 たとえば、広告商品の大口顧客である大手代理店グループWPPのCEOであるMartin Sorrellから「Sheryl Sandberg(Facebookの最高執行責任者=COO)はメールをすると必ず返事をくれるのに、なぜあなたは返事を寄越さないのだ」と大勢の前で詰問されたとある。

 やはり大手広告代理店グループのIPG(Interpublic Group)経営陣との会食の約束に1時間半も遅れ、Michael RothらIPG幹部を夜の10時まで待たせた(いずれも今年6月の仏カンヌでの出来事)といったものもある。

 さらには、十分な“デューディリジェンス(評判の聞き込み調査など)”もせずに雇ったHenrique de Castroという広告事業の責任者(元Google社員で、Google社内ではあまり評判がいいとはいえない人物だったらしい)が1年も経たないうちに使い物にならないとわかり、結果的に1億ドルを超える金額を無駄にした(CastroのYahoo!移籍にあたり、Mayerがそういう高額な報酬を支払う条件を認めた)といったもの、あるいは社員のやる気を奮い立たせようと導入した評価制度が結局裏目に出て、逆に士気がすっかり低下してしまったといったものまでさまざまなエピソードが記されている。

 日本の一部媒体でも報じられていたMayerの「在宅勤務禁止令」については、実際に影響を受けたのは164人とわずかだったが、Mayerが自分の執務室にとても手のかかった育児スペースを設けた(そこに自分の子供=新生児と乳母が一緒に出勤できるようにした)後だったため、その矛盾を批判する声も少なくなかったらしい。

 この記事で印象に残る点のひとつは、当初はスケールしやすいテクノロジベースのプロダクト(ツールやサービス類)に軸足を置くという見方が優勢だったMayer――実際にTumblrを11億ドルで買収すると発表した2013年前半あたりまでは、そうした方向性で進むかという感じが強かった――が、ある時期からコンテンツを中心とするメディアの方に関心を移していったという部分だ。

 しかもGoogle時代には何十種類ものA/Bテストを繰り返すなどしてデータ重視で物事を決めていたMayerが、メディア関連の取り組みについては自分の主観(直感)に頼って話を進め、それらの大半が期待外れの結果に終始している、といったものだ。

 この外した例としては、大物ニュースキャスター=テレビ番組ホストのKatie Couricの契約や、2014年の年明けからスタートしたYahoo Tech(NYTimesでテクノロジ系の名物コラムニストとして知られていたDavid Pogueを編集長に抜擢)などが挙げられている。

 Couricについては、元国防長官のRobert Gatesなど著名な人物のインタビューをいくつか作って公開したが、Yahoo!のユーザー層にはまったく受けず、「誰もビデオをクリックしなかった」などと書かれてある。しかも、以前にCouricのインタビューシリーズを流したことがあり、まったくパッとしなかったという前例があったにも関わらず、Mayerがそれを無視したとも記されている。

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