Appleが2015年中の投入を目指して開発中とされる新型MacBook Air(MBA)。その概要をかなり詳しく伝えた記事が米国時間1月6日に9to5 Macという媒体に掲載されていた。CNET Japanでも採り上げた。
- 12インチ「MacBook Air」の情報が流出か--USBはType-Cのみ搭載の可能性--CNET Japan
毎年この時期には米ラスベガスでInternational CESが開催され、大小さまざまな企業からたくさんの発表があるのはご存じの通り。そして、そうした発表に集まる注目をそらすかのように、Apple関連の新製品やサービスについての「噂話」が流れるのにも慣れっこになったが、今回の新型MBAに関する話はそんな「すれっからし」の筆者などにも興味深いものに思えた。
9to5 Macによると、12インチスクリーンを搭載する新型MBA、Apple社内では「MacBook Stealth」と呼ばれているらしいが、大きな注目が集まっているように思えるのは「端子がたった2つしかない」というところ。具体的には、現行機種にあるUSBポート、SDカードスロット、Thunderboltポート、MagSafe充電ポート(電源コネクタ)などが取り払われ、ヘッドフォン端子と新しい規格の「USB Type-C」ポートが1つずつ残ることになるらしい……。
こうした大胆な省略化もやはり「薄く、軽く」というApple流デザイン思想をさらに追求するためらしいが、その手段として使われるらしい新しいUSBポートがなかなか面白そうなので、以降はそれに関連する記事を少し紹介する。CNET Japanには、今回のCESであったデモを取材した記事や写真もあるので、それぞれ参照戴きたい。
- 次世代USB「Type-C」の第一印象--CES 2015で目にした性能--CNET Japan
- リバーシブル仕様の「USB Type-C」--写真で見る新コネクタ--CNET Japan
データ転送も映像/音声信号も充電も1本で
9to5 Macの当該記事からリンクされている別の記事(2014年8月のもの)には、USB Type-Cの仕様についての簡単な説明がある。目を惹くのは「上り下りのそれぞれで10Gbpsでのデータ転送が可能」「最大100Wまでの充電が可能」という2点。さらに別の記事(2014年9月下旬のもの)には、「USB Type-3に含まれる“DisplayPort Alternative Mode”というのを使うと、4K(横3840×縦2160ピクセル)あるいはそれ以上の解像度の映像/音声信号も転送可能」といった説明もある。
つまり、USB Type-Cに切り替えれば「DisplayPort、VGA、HDMIといった映像/音声関連の端子も、データ転送用のUSB端子も、それに充電端子も不要になる」ということらしい。同時に「アダプタを介することでDisplayPort、HDMI、DVI、VGA端子にも対応、USB 2.0との互換性も確保」といった説明もある。「なぜ(主にアナログの音声出力用である)ヘッドホン端子も省略されないのか」という部分についての説明はない(生憎とあれこれ推測するできるだけの予備知識も当方にはないのであしからず)。
WikipediaにあるThunderboltのページをみると、Appleの一部の現行機種に搭載されている「Thunderbolt 2」コネクタで「最大転送速度が上り下りそれぞれ20Gbps、給電能力が10W」などとあるので、USB 3.1規格に基づいたType-C端子とケーブルなら、データのやりとりも充電もほぼ問題なし、ということのようだ。
規格策定に積極関与したApple
The Vergeでは、新型MBAについての9to5 Mac記事に言及しながら、実はAppleがUSB Type-Cを強力に後押ししている節があるなどとする記事が公開されている。この記事には、同規格の策定作業に「Appleが18人のエンジニアを振り向けていた」「この人数はIntelの24人に次いで2番めに多く、Microsoft(16人)、Google(10人)、HP(6人)、Dell(5人)のそれを上回る」といった記述がある。
現時点ではあくまで可能性に過ぎないと前置きしながら、「今後はMac以外の製品にもUSB Type-Cを採用していくのではないか」「それに伴ってThunderboltやLightningもやがて姿を消すのではないか」などとも指摘している。